知的障害の学部では、校外に出て、列を作って歩くことがよくあります。
今は知的や肢体、聴覚や視覚などの障害種別によって学校や学部が編成されていますが、保護者の希望等で種別にかかわらず入学が許可されることがあります。
随分昔ですが、知的障害があり、視覚障害がある児童生徒がいて、その子が進学したのは肢体不自由の学校でした。家で「~先生になぐられた」と言ってみたり、義眼を投げて大騒ぎになったりしましたが、もう成人になっていると思います。
さて、知的障害の学校に行くのに、絶対ではないですが存在するのは「歩けること」があります。車いすやバギーを使う児童生徒が1学級に1人なら対応できるかもしれませんが、1学級に複数いたら機能不全を起こすでしょう。
では、歩けるならいいのかというと、「うーん」というところです。体力(パワー、持久力など)が十分でなければ集団についていけませんし、関節の変形などがあったら長距離の歩行や、瞬発力を要する運動などは制限がかかってくると思われます。
【待てますか】
学年に10人の児童生徒がいて、そのうち4人がよく歩き、エネルギーをここで発散させておきたい子とします。そうして、3名の子どもがみんなと一緒に歩けるか体力的に、気持ち的な持久力的に、やや厳しいという場合はどうすればいいでしょうか。
個人的な考えですが、正直集団を分散させることは安全管理やリスク管理、授業運営としてプラスマイナスで言えばマイナスかなと思っています。そうして、「子どもが頑張ればできるかもしれないのに、集団から切り離すのか」「みんな一緒に」のような批判が内外から起きるかもしれないのは不本意です。
そうなると、移動能力(歩行能力)の違いも含めて、どう移動するか戦略を立てねばなりません。
全体のスピードは抑えめに、休憩をどこでとるか、並ぶ順番はどうするか、どの先生が誰につくか、停滞したときはどうするか、リーダー(MT)になる先生は想定しておかなければなりません。
もし、遅れてくる児童生徒がでたとき、どうするでしょうか?
子どもの実態、教員の数、移動するコース、学校からの距離、天候などによって選択肢がでてくるのですが、以下のようなものがあると思います。
・とにかく全員でゴールなので、場所を選んでそこで待つ。(目標になるよう見えるところで)
・同 上(コース上の、集団で待てる場所を選んで待つ。見えなくても集団の管理を優先)
・進めるチームとゆっくりチームに分けて移動する。(待てないので、待たない)
・教員がゆっくりの児童生徒を抱っこ、抱える、バギーなどに乗せて移動。
ちなみに、乗り物の準備が必要で、遅れたら乗り物に乗せるという教員間の共通理解を行います。なぜかというと、「一度歩かなくていいと車いすなどの逃げ道を作ると、甘えて動かなくなる」、「保護者が歩かせてくれと言っているので、それを放棄できない」「みんなと一緒でないのは可哀そう」などの意見がでると、全体がうまくまわらなくなる可能性があるからです。
私がリーダーだったらどうするか…ですが、個人は大事だけれども、全体を許容範囲を越えてガマンさせたりするのは違うと思っているほうなので、不満を言う教員に子どもを預け、責任を持たせ、全体を予定通りに引っ張ると思います。もし、教員1人と児童生徒1人を別行動にすると全体がまわりにくくなるようなら、「学年全体がうまく機能しなくなるリスクがあるので、ここは全体に合わせてください。改善策は後で考えましょう」と言うと思います。
おそらく、これも画一的な指導だ、集団に合わせようとする、合理的配慮に欠けると言われているのだと思います。もし、個に応じた指導や個別対応を求めるなら…今の学年だと、あと2人教員を増やして頂ければ実現できると思いますが、どうでしょう?