担任の先生より

1056)特別支援学校 怒鳴ってはいけない

先日、「先生が子どもを怒鳴って指導しているのを聞きました。それで、心が痛みました。」という話があったそうです。それに対して、「このような指導があったとのことで、人権に配慮して指導してください」と全校周知がありました。

 保護者は、強く言われているのを聞いて、子供がかわいそうだと感じたか、自分事のように感じて恐怖や不安を感じたのだと思います。

 体罰の禁止に関する例について、たたく、突き飛ばすなどの直接的な身体接触のほかに、罵る、脅かす、威嚇する、人格を否定する、集中的に批判する等も適切でないとされています。

 保護者の心情に配慮する、適切な指導を行う、といった観点をとりあげると、強い口調で指導することは適切でない、ということになります。

【確認してみた】
誰が強い口調で指導したのか?よりも、強い口調で指導したのはなぜか、理由があったとしても、強い口調で指導しないといけない理由があったのかが気になりました。そこで、こっそり情報の出どころを探って聞いてみました。聞いた先生によると、「安全に関する問題があったので、強い指導に出た」とのこと。

これについて、「危ないと知らなかっただけかもしれないから、分かるように教えてあげればいいじゃないか」、「なぜ危険なのか、説明すれば良く、怒鳴らなくてもいいのでは」という意見もあろうかと思います。

【じっくり話す指導が成り立つには】
・説明して、やったことがなぜいけないのか把握できる。
・何について指導されているのか理解できる。
・危険な行為につながるポイントを聞いて理解できる。
・どうなったらいけないか予見する力がある。
・教員の言うことを聞いて、理解しようと注意を向けることができる。
・自分の行動を修正することができる。
・指導されたことを覚えていることができる、必要に応じて想起できる。
・言われていることが分かる(言語理解)。
・自己抑制できる。
・大人に関心をもってもらいたくてした訳ではないこと。

子供に指導するとき、個別指導になることが多いと思いますが、その他の児童生徒をどれくらい待たせせるか、丁寧に説明することに効果はあるのか、冷静に判断する必要があると思います。

【理性的な指導の落とし穴】
強い指導をしなくなったら、良くなるかですが、個人的に疑問符がついています。

真っ先に思い立ったのが、以下のようなものです。

・自己判断や興味関心の赴くまま、脱線していくパターンです。言われたことは守れても、次々と新しい発想で行動を起こされると、随時見守りや注意が必要です。提示したものを順番に取り組んでもらいたいと思うでしょう。

・かまって欲しいので、あえて問題行動を起こすパターンです。熱心に指導すればするほど、かまって欲しいという欲求が満たされるので、もっと悪いことをして教員を自分のもとに呼び寄せようとすることがあります。

・自分が感じたことを衝動的にやってしまうパターンです。道路に飛び出す、友達を邪魔だと突き飛ばすなど、いいことと悪いことの判断がつかない、衝動的に動いてしまうといったときは、考えてから行動するための抑制が必要です。(理由はわからないけれど、勝手なことをしたら怒られるからやらない、など)

特に、今身近にいる子供たちは1歳~2歳の発達段階の子供が多く、集団の中の自分を見るよりも、「私が」と「身近な大人と私」といった狭い範囲で物事を考えて行動する傾向があり、理由よりも「ならぬものはならぬ」と教える機会も必要では、と思います。