児童がグラウンドの隅で、座り込んでしまいました。一緒にいた先生(教員歴わずか)も一緒に座りました。
他の子どもたちはどうしているかというと、一定時間グラウンドを走る課題に取り組んでいます。この状況をどう捉え、どうするか考えました。
【状況把握】
座り込んでいる子どもは環境適応が難しく、こだわりが強いタイプです。
一緒についている先生は、まだこの子どもとかかわるようになって数日しか経っていません。
新年度が始まって、半月も経過していません。
【授業に関する考え方】
今は、みんなと一緒に走る時間。(集団生活の場として)
今は、みんなと一緒に走る時間。(学校生活における習慣として)
教育課程上、何をする時間と決められている。(制度に則った授業として)
体つくりの一環として(個々の体つくり)
学校の様々な場所で学習することで、場に慣れる取り組み(環境適応)
考え方はいろいろありますが、教員は、決められた教育課程に則って、指導することが仕事とされています。
【自分はどうしたか】
動くよう促すか、交代するか、動かずにとどまるか、多少悩みはしましたが、「そこにとどまって見学」ということでよい、ということにしました。
まず、子どもについて、踏み入れた場所について、なじみがないにもかかわらず、そこにいられたのは一歩前進と考えました。逃げるでもなく、暴れるでもなく、座り込んでいるだけなので、周囲に迷惑をかけている訳でもありません。
若手の先生に対して、この場は、どんな指導的判断をすべきか分からない(決めかねている)と思います。その場から子どもを立ち上がるよう促し、手をひくなどすれば、授業の活動に参加させることができた、といえます。しかし、懸念したのは子どもが慣れない先生と、慣れない場所のなかで、どんな反応を示すか計算できないことでした。
私自身も「この子はこうなる、このような反応を示す」と見立てが十分にたちませんし、若手の先生もそうだと思います。何より、どんな反応を示したとしても、それに応じて対応する引き出しがないことが心配事でした。
うまくいっても、若手の先生は言われた通りに指導しただけ、失敗してケガでもさせたら、言われたことをやって、怪我をさせて、自分の責任のように思われたと考えるかもしれません。このリスクは負の部分が大きすぎると判断しました。
【どうなったか】
近くにきた、他の先生が若手の先生と交代して、手をひいて一緒に歩き始めました。授業で行っている課題を、この子どもにもやらせなきゃと思ったのでしょう。
これは私の出した結論とは異なる行動でしたが、その先生が指導上の責任を負う覚悟があると思い、任せることにしました。また、一度できた流れを断ち切ろうとするのは、大人同士の人間関係のギクシャクを子どもと若手の先生に見せることは、職場の人間関係に余計な緊張感をもたらすことになるでしょう。
この授業はどんなことをするのか、動くか動かないか、いろいろな個性(?)をもつ子どもたちに対して、教員はどんな支援をしているか、それを観て学ぶ機会があっただけで、よしとしました。