重度の児童生徒が在籍する学級のイメージといえば、少人数で手厚い、ゆっくり・じっくり、待ってもらうことが多い、などではないでしょうか。
私も、明確にこうだ!と決めて(定義づけて)いなかったのですが、最近、また少し違った視点があることを確認できました。(無意識にやっていたかもしれないです)
【重度の学級経営のコツ】
結論から言うと、「やるべきことはミニマムにして、余裕をもって一歩ずつ進める」ということです。
よく、教員は言葉が多すぎる、丁寧に理解してもらおうと手続きが複雑になりすぎる傾向があると言われています。私もそうだと思いますし、意識していないと陥りがちです。(私も、やってしまうことがあります)
それだけ、子どもに分かるように指導したいことを理解していくプロセスを大事にしているのだ、と考える先生もいます。(その気持ちは、よく分かります)
しかし、目の前にいる子どもは、複数の事柄を次々を取り入れて行動に反映できるだろうか?1つのことを理解し、定着させることにどれくらいの時間や頻度が必要か?を考えると、懇切丁寧な指導は「よくわかった!」といも、混乱を生みだす可能性が非常に高いと思われます。
1~10のことを理解してほしいとき、10に到達するために、始めから話をしないと分からないだろうと思うのですが、そこはぐっとこらえて、今日は1だけ、しばらく様子をみて1が経験を通して身に付いたら3までやってみよう、みたいな根気が必要なことが多いと感じています。
【そもそも、余裕が必要になった訳】
ゆっくり、余裕をもって指導する必要性をつくるか、つくらないかは教員の裁量でどうとでもなる部分があります。
余裕をもたせることが大事なのは、その場で学校生活を送っている児童生徒と教員がじっくりと前進できるためだと思います。それ以外にも大事な理由が二つあったので、続けて書いてみます。
・リスク軽減のため
重度の障害を持つ児童生徒には、身体機能面や情緒、日常生活動作などの支援が必要なことがあり、排せつなどの場面でとても時間がかかる場面があります。
もし、丁寧で個別の指導をめいっぱい詰め込んでいたら、不定期に起こる対応でプランが大幅に崩れてしまい、教員は指導の流れを再構築するだけでなく、次の決めたことができないとイライラするケースもでてきます。
もし、時間や支援をお互いに消化できる範囲ですすめていれば、「あー、AさんとB先生、トイレに行って、なかなか戻ってこないなぁ、ちょっと待ってあげようか」と落ち着いて状況判断できます。
・チームプレーのため
学年や学部で、いわゆる「大変な学級」が出てくることがあります。
先生がイマイチすぎるときや、児童生徒にとって必要な支援がヘビーすぎたり、支援が多様すぎたりして、学級がまわらない、または大きなリスクを背負いながら経営しなければならないことがあります。
そんなとき、「大変だから非常勤の先生をつけてあげるよ」、「この児童を、こっちの学級にうつしてバランスをとりましょう」なんてことはありません。まわすことを前提に考えるならば、出せる所からマンパワーを捻出して、学習環境を安定させなければなりません。
余談ですが、蛇足をちりばめた学校生活と、精選したタスクの隙間に蛇足をまぜこむのは全然違います。後者を実現するには、科学と大事なことを精選して整理するプロセスが必須です。この環境が教員自身をも継続して成長させる土壌になればいいな、とも思っています。