学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

1125)特別支援学校 教員採用試験、その後(2)

新規採用で特別支援学校に赴任してきたA先生は、中学部1年生の副担任として働くことになった。はじめのうち、どうも積極的に動けないし、ぎこちないのが目につきました。

慣れないからかな?
緊張しているのかな?
ペースがつかめないのかな?

周りの先生がそう思って、できる仕事を考えて取り組むように配慮し、視野を広くすることよりも身近な生徒に時間をかけてかかわるようにしてきました。

ところが

生徒と対話できない
特定の行動や指示に固執して、生徒に強制する
指導上の留意点や配慮事項を覚えない
周囲の様子や子どもの変化に対応できない
次を予見しての準備や片付けができない
生徒との距離感が極端に遠かったり、近すぎたりする
指示待ちで、棒立ちになっていることが多い

などが明らかになってきたので、主担任の先生は、予定の確認、授業、登下校指導、リスク管理、新任の先生への指示出しなど、あらゆるタスクを抱えざるを得なくなりました。

これが、毎日続くことになるので、だんだん主担任の先生は疲れてきました。周囲の先生も、主担任の先生を心配して、適宜フォローするようになりました。ここにきて、過負荷な状況が続き、学年の先生が疲れてきているようなので、心配した先生が管理職に相談しました。

これに対して、「協力して運営してください」、「ハラスメント案件になるので、仕事から締め出すようなことはしないように」、「温かく見守るようにしてください」という答えが返ってきました。

これはつまり、採用された人員を適正に活用するように、通常の仕事で疲弊して教員が休むことはあっても、ハラスメント案件で休むようなことは許されない、未熟ならばOJTで成長させるのが現場の仕事だ、ということです。

【中堅の先生、その後】
児童生徒や保護者だけでなく、教員集団の中にも課題を抱えて、日々をまわしている中堅の先生は、学校・学年・学級の運営が仕事だからと頑張るのですが、ある日、ふとこう考えます。

自分の指導観を反映することができているのか?
やりたい教育って、こんなものじゃなかったはず。
教育の場は、ここだけじゃない

こういった状況が頻発するようになると、中堅の先生の定着率がぐっと下がります。

【専門家等に知って欲しいこと】
理学療法士や作業療法士、地域や保護者にも知って欲しいことがあります。

これまで、このブログでは医療と学校教育の違いなどについて書いてきましたが、ここにきて「数」だけじゃないんだと気づきました。

学級経営について、教員が2名いれば割り算で、複数の仕事や教員の数以上の児童生徒の指導を共有しながらやるものだ、と言ってきましたが、そうではないケースもあるということです。場合によっては、単純にな割り算にならず、仕事量が8:3で、その3も準備して指示しないと分担できません。

このような状況で、「うちの子にこんなことをして欲しい」、「もっと発達を促すためにこうしたらいいですよ」、「この子にとって為すべきことができていない」などのより良くしたい善意の声が、現場を守って踏ん張っている先生を潰してしまうかもしれません。

学校を支援する方々は自分の専門性を子どものために使いたいと、視点を子どもにうつしがちです。しかし、それと並行して、担任の先生の学級内の立ち位置、動きや役割、守備範囲にも注意を向けて欲しいと思います。これを理解しないと、「減らすこと」「精選すること」「追加すること」「入れ換えること」「情報共有すること」「賛同や承認すること」などの、その先生が求める真のニーズにたどり着けないと思うのです。