担任の先生より

1150)特別支援学校 就職したけれど、もたない…。

特別支援学校を卒業して、企業等に就職した子が、数か月で退職してしまう…。

こんな話はよく聞くことで、珍しいことではありません。最近は自分に合わない、成長を感じられない、ハラスメントがある、などということで退職してしまうそうですね。

【離職理由】
特に知的障害や発達障害がある人ですが、仕事そのものや、職場の人間関係よりも、自分の生活の維持・管理ができないことに起因するパターンが多いようです。

最近聞いたのは、朝起きられなくて、連絡もできず、職場に行けないことが続いたので辞めてしまった、でした。他に、トイレに自分で行けることが必要だと言われていましたが、保護者の支援がないとできないことが明らかになり、これでは困りますと断念するケースもありました。

これは、ライフスキル(日常生活能力)に該当するもので、個人として生活するために必要な能力を指します。次に必要なのはソフトスキル(職業生活遂行能力)で、職場のルールを守り人間関係を維持していくために必要な能力です。そうして、その上にハードスキル(職務遂行能力)がのってきます。(これらは、研修会で聞いた話なので、すみません)

卒後の生活のために、とにかく教科学習を頑張ってきました!と言って、集団生活に馴染まない生徒さんも、何人も見てきましたが、これだと信じて培ってきた能力は、上記のどこに該当するでしょうか??

学校に通っている間は、保護者が生活管理を担い、登校後の支援は教員がやってくれる訳で、いざ自分でとなると、経験不足が重くのしかかってきます。ちょうど、高校を卒業して、親元を離れ、大学などに行ったときの心細さを思い出せば、そう難しくないと思います。

集合住宅で済むためのルールやマナー、金銭や物品管理、契約関係、買い物、食事、清潔、整容などなど。どこまで求めるかは、実際の進路先にもよりますが、特別支援学校では教科学習だけでなく、集団生活や日常生活に関する指導なども行われています。特別支援学校は何をしているんだ?と思われることもあると思いますが、ざっくり言うと「個人生活や集団生活を送るための経験を積む場」じゃないかなと思います。