医師・介護・看護 担任の先生より

1157)特別支援学校 薬復活

向精神薬を止めていた子どもが、再び服薬するようになりました。

といっても、これまで使っていたのと似てはいるけれど違う薬です。私は薬推奨派ではありませんが、今回については、そうすることが望ましいことだったと思っています。

もともと、服薬は「落ち着くため」でしたが、止めた理由は睡眠と食欲、でした。主訴は保護者の要望からくるもので、医師もそれに同意したということでしょう。ただ、このような場合は、一気に薬をゼロにするのではなく、量を減らしてみる、種類を変えてみる、などの調整やソフトランディングを探ることが普通と思っていたのですが、そうではありませんでした。

保護者の意思で始めた服薬なしの生活、睡眠や食欲については保護者の考え通りにいっていたようです。しかし、その他については、積み上げた物が一気に崩れた感じでした。これに対して、教員が生活能力や学習能力が低下したので、服薬を再開して欲しい、と述べることは通常できません。

教員は保護者の決定した状況を受け止めて教育する、ことになっているからです。

【情報の整理と問題提起】
教員から、日常の様子についていいことばかり伝えていると、「うまくいっている」、「問題ない」、「許容範囲内でできている」と解釈される可能性が高いです。

私は保護者に、日常の様子に関する事実を伝え、良いところと、難しくなったことを総じて天秤にかけて考える機会をつくりました。

医師に対しては、保護者経由で、睡眠と食欲の面だけでなく、社会性や学習能力を発揮すること、心理的な安定をいかに確保するかも含めて、総合的に判断して欲しいと思っていることを伝えて頂きました。

これで、変わらなければ仕方ないと思っていました。

人って現状維持、今の状況は悪くないと思いたいものです。課題を放置し、先延ばしにすると、どんどん対応が難しくなります。言い出しにくいですし、子どもの誤学習やエラーが積み重なり、もはや何が原因でそうなっているかも分からなくなります。次年度以降の先生はじめ、その他の支援者も苦慮することが増えていくでしょう。

今回はうまく軌道修正できました。子どもも年齢的に若く、保護者も経験上これでいいんだという思い込みもなかったのが良かったです。また、明日から少しずつ繰り返しと積み重ねをしていくことができます。