こんにちは、雑賀孫市です。
今回は、知的(ちてき)障害特別支援学校と、肢体不自由(したいふじゆう)特別支援学校の違いについて書きたいと思います。
御存じかもしれませんが、教員採用試験では通常学校と特別支援学校の枠に分かれていて、 特別支援学校枠採用になれば、あとはどの障害種別になるか…です。
知的と肢体のほかに、盲(もう)学校や聾(ろう)学校もあるのですが、 実際にちゃんと見ていないので、このブログではパスさせてください。
まず、基本的なところから、文部科学省の「平成29年5月1日、特別支援教育資料(平成29年度)」から見てみましょう。
【知的と肢体の特別支援学校の数】
知的のみの特別支援学校⇒553校
肢体のみの特別支援学校⇒122校
(知肢併置の特別支援学校⇒147校)
【在籍する児童生徒数(特別支援学校と特別支援学級の合計)】
知的の小学部⇒37207名
肢体の小学部⇒13578名 (その他学部省略)
これらをふまえると、知的障害特別支援学校の方が、学校数、在籍者数ともに多いことが分かります。
では、主観的になりますが、次に知的と肢体の違いについて書いていきます。
①教員配置
標準法という法律のもと、児童・生徒数から学級数が決まり、教員の数が決まります。
⇒肢体のほうが、教員一人あたりに担当する児童生徒数が少ないです。 これは、車椅子の移乗(乗り降り)、排せつに支援(介助)が必要なため、という点が大きいのだと思います。
一方、知的の学級で、「1学級子ども6人、教員1名」の体制はよくありますが、教室を飛び出していく、友だちをたたく、そういったことが重複している学級では、学級経営と個別対応を両立させることが難しいです。
つまり、教員の数は決められるのですが、安全を保てるかは先生の力量と児童・生徒の実態次第 という面があります。
②教員の児童・生徒へのつき方
バスケットボールのディフェンスに例えると、肢体はマンツーマン、知的はゾーンだと思います。
肢体は児童・生徒の体調管理(観察、支援、連絡、等)があるため、大人と子どもの距離が非常に近く、きめ細やかな対応ができる反面、 教員が子どもと同一化して、「この子のためにやってもらって当たり前」、「指示がでるまで動かない」、「予定は覚えてないけど、授業のリーダーが言ってくれるから、言う通りにしましょう」など、依存的になる傾向が強いように思います。
知的はゾーンディフェンスなので、学年全体の児童・生徒をどのようにして、今ある教員配置で フォローしていくか、常に計算しながら進める必要があります。 そのため、教員は自分のクラスばかりに気を取られていてはいけません。また、個別の対応に振り回されて、他の児童・生徒を見ていないということは困ります。
この点が、特に支援員として来られているOT・PT・STに理解されていないと感じるところです。(すぐに個別の支援と環境設定にいきがち)
③教育課程が違う
大きく違うのは、肢体には「準ずる」課程がある点が大きいです。 この準ずるとは、通常の小学校、中学校、高等学校でやっている科目の基準を満たす コースがあるということです。なので、準ずる課程の高等部を卒業した生徒は、 一般の大学受験ができるということです。 もちろん、知的の高等部にも大学に行きたい生徒はいて、大検を受けることで大学の受験資格をとろうと頑張るケースもあります。
④同性介助
客観的なデータは手元にないのですが、特別支援学校に在籍する児童・生徒の男子率が高いのに 教員は女性が多いと感じています。排せつや着替えなどは中学部や高等部になると、同性介助が基本となっているため、男性教員への負担が増大する傾向があるように思います。
まとめ
知的と肢体を比べてみました。 それぞれ児童・生徒の実態が違っていて、指導体制や教育課程が違う、といったことが分かりました。
学校種別について、知的と肢体は別ですが「人を頭と身体を切り分けて教育することはできません。知的の指導も、肢体の指導も分かって、うまく使いこなせたら」と思います。
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