こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、学校の先生が毎週作っている「週案(しゅうあん)」と、そこから感じられることについて書いてみたいと思います。
【週案とは】
週案の正式な名称は「週案簿」といいます。
ざっくり言うと週のなかでどんな授業をやるか、コマ割りで表示した予定表のことです。
該当する週が始まる前に提出し、戻ってきたらその週(または日々)の反省等を記載して再提出、検印されたものが戻ってきたらファイルに綴じこんでいくものです。
【週案の位置づけ】
岸ら(2004)は「教師の省察と協働を支援する週案簿活用モデルの作成」のなかで、「週案簿は、教師にとって、年間指導計画と日案または本時の指導案とを結びつける位置にある。年間指導計画で予定された内容を児童・生徒の実態や他の教科との関連、各種行事との関係などを考慮し、実際の時間割にそって、ねらいや内容を計画し、配当するものである。」と述べており、「カリキュラムの管理簿」としての性格を有するものと位置づけています。
この位置づけについて、2つの見かたがあると思います。
1つは、次週に何をするか自覚し、計画や準備するためです。週案を肯定する人はここを強調しています。
もう1つは、週ごとに為すべきことを網羅していて、もれはなかったと指摘されないようにする証拠という考え方です。
【週案をさかのぼると】
週案は、各学校の教務部(授業時数や教科書、式典などを仕切る先生の仕事)が基準をもとにまとめた年間予定表と月予定表、年間の授業時数表があり、各学部の先生がそれを見ながら作成していきます。
つまり、枠が決まっているので、柔軟な授業のアレンジはできず、型通りの時間割表を繰り返すことが大半になるのはやむをえないことだと思われます。
この型と、実際の教育現場で起こっていることのギャップやズレがうまく合わないと、週案は実態に合わないという批判があがってきます。
例えば、ネット上ですが、教育出版のページの記事のなかで、「週案を書いて提出していますが、実際の指導とは結びつきません」という記事がでていました。
これに対して、「週案は指導する教師と指導される子どもとの双方のためのものです。週案を教室に掲示しておくと、教師自身にも子どもたちにも日常的に活用できます。」と…。
【週案は予定表】
週案は公務とされ活字のみ、教科名、目標、使用するもの、などが細かく書かれているので、こどもと見るには厳しいと思います。
予定表に準ずるものは教室に掲示された時間割表のほうが文字が大きく、見やすいはずです。
保護者には学年だよりなどで表が出されているので、説明責任は果たされているし、準備物は何かも書かれているので、週案の出る幕はありません。
特別支援学校では、時間割表のなかにイラストを入れて、見やすくしたものを事前に配布したりしています。それでも、週案は必要でしょうか。イラストつきの予定表を週案として提出してもいいと思われますが、それは「ダメ」らしいのです。
【週案は週案でなければならない】
イラストつきの週予定表を週案がわりに、授業時数表は別に教務部が管理しているのだから、あえて週案の中に記載する必要性はないはず、と聞いたことがあります。
回答は、それは学年だよりであって、所定の書式で作られた週案でないから認められないということでした。
道理で…予定表、連絡関係の書類、出席に関する諸帳簿、子どもの実態表、類似した書類が形をかえて校内あちこちに点在する理由はこれだと思いました。
それぞれが、それぞれの目的で設定したものだから止めることができないということでしょう(いわゆる縦割り)。
だから、週案はやめることができないんだと思います。
https://magomago1.org/288teacherswatchchildrensoheavy202011/
前回は、「288)特別支援学校で行われる避難訓練、忘れがちな大人の存在」です。こどもばかり見ていると、自分のことを置き去りにする先生が結構いるなぁ…と感じます。
https://magomago1.org/290japanwseothadbetterlearningfromsumsung202011/
次回は、「290)サムスンの売りたい相手の文化を知ろうとする戦略を、特別支援教育に参画しようとするリハ業界も見習うべきだ」です。