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294)通所リハビリの利用者さんが求めていること

以前、ピンポイントで、通所リハビリで働いたことがあって、
あの人、個別リハビリを嫌がるのですが、なんとかなりませんか?」とスタッフから言われました。
やや強面の方で、ゆっくり座っているほうがいいんだ、というようなオーラがでていました。

【通所リハビリテーション(デイケア)とは】
デイケアの目的は、心身機能の維持・回復を図ること。リハビリ専門職の指導のもと、介護老人保健施設や医療機関で心身機能の維持・回復と日常生活向上のためのリハビリを中心に、食事や入浴など生活上の支援が受けられます。1日の利用時間は3~7時間ほどになります。

要介護度によって自己負担額が違うようで、(2019年10月現在だと)要介護1の方は493円、そこから単価があがり、要介護5の方は832円になり、そこに食費や日常生活費がつくそうです。

とにかくでかけて、ゆっくりするべかー。

【何をしにきているのか、よく考える】
個別リハをしなくても、その方はお茶とお菓子も召し上がったし、満足しているようでした。
が、腰が痛いので動きたくないようでした。

「とにかく個別リハを受けることにしよう」
「家を出て、通所リハの場に出ただけで生活圏はひろがった。そのことに価値がある」
「満足できて、またここに来たいと思えるような体験をしてもらおう」

そう思って、声をかけました。
「腰、つらいみたいですね。少し緊張を落として痛みを和らげてみませんか?」

彼は、「そうかい?じゃあ、やってみようかな」と身体を起こして、個別リハの場所まで来ました。

私はうつぶせになるよう促し、少し手のひらや指先でちくちくと時間をかけて骨盤を中心に押しました。
そうして、「時間になりましたので終わります。お疲れ様でした。」と声をかけて終わりました。

その方は、「少し楽になったみたいだ、ありがとう」と言って、元の椅子に戻っていきました。
私は、何も特別なことはしませんでした。

【スタッフのつぶやき】
その後スタッフから、「うまく連れてきてもらってありがとうございます、なかなかリハの専門家の方って複雑なことをやりたがるし、プライドが高いので利用者さんも我々も身構えてしまうんですよ…。」と言われました。

【何を大事にするか、バランスはとれているか】
技術があれば、経験則があれば、もっと利用者さんやスタッフの方が喜んだはずです。
しかし、マッサージモドキの私のほうが安心して受け入れられたという現実。

多分、私のほうがバッタもの

リハビリテーション医療は進歩・進化していると思います。
私はその点において、取り残された化石のような存在です。

どこが違っていたのでしょう?
業界人しか分からない言語と価値観のなかで切磋琢磨しているうちに、忘れてしまったものはないですか?


https://magomago1.org/293stayingnowpositionskill202011/
前回は、「293)特別支援学校で、長年同じポジションに君臨する方法」です。その人しかできない仕事と思わせれば簡単です。

https://magomago1.org/295noismmakemanyworks202011/
次回は、295)学校組織運営、ガラパゴスと開放の中間が仕事を増やす」です。縦割り的な組織がそれをやると、似たような文書をいくつも書くハメになるんです。