今日は、学校ですすめる福祉用具についてお話します。
実は、学校にも代表的な福祉用具、例えば摂食指導でありがちな「すくいやすい皿」や「らくらく箸」、「スプーンにさして握りを太くするもの」、座位保持装置、電動車いすなどがあります。
これらは、保護者からの寄贈(使わなくなったから後進のため)であったり、学校の予算で買ったりします。使い道はというと
・お試しで使ってみて、よければ保護者に提案してみよう
・指導に使うものとして活用しよう
などがあります。
【事件はお試しの品で起こる】
もう10年ほど前になるでしょうか、失調(力加減や動きの調節が苦手)のある高等部の生徒でしたが、スプーンも箸も使いにくいということで、「箸蔵(はしぞう)」なるお箸に似たものをお試しに使ってみて、よければ家庭で購入してもらったらということになりました。
ところが、お試しにもかかわらず、彼は学校だけでなく家にも持ち帰り、購入するでもなく、返却するでもなく日常的に使うようになり、そのまま2か月が経過していました。
一体どうするつもりなのか、担任の先生を通して以下の点について保護者に確認してもらいました。
・お試しのために貸したのであって、日常的に使用するために貸したのではない。
・常時使用するなら、購入して欲しい。
・他にも試してみては、という児童・生徒がでてきたとき、無いのは困る。
後日、自分用として購入したので、借りていたものは返しますとのこと。
ところが…。
【ひと悶着】
彼は自分用の新品のものを購入しました。
ところが、貸し出していたものは、噛み跡がつきまくってボロボロです。
「借りていたものを返します」
と謝罪するでもなく、平気な顔をして返却したとのこと。
これに貸し出した部署は激怒、「これだけ使い倒して、平気な顔をして返却するとはどういうつもりだ。ここまできたら、新しく買ってきたものを返すのが筋だろうが!」
これに対して、生徒は、「借りていたものを返した」、「自分の家で買ったものを自分で使うのが、なぜ悪いんだ」、「いつまでに返すとか決まっていなかった」などとゴネまくりました。
保護者は何と言っていたか、よく覚えていないのですが、自分勝手な解釈のために問題が起こるのはよくある話だと思います。
【反省点】
・担任が貸し出す時、生徒に説明はしたけれど、保護者に説明できていたか不明。趣旨や期限などが伝わっていたか怪しい。
・生徒の特性として、自分に都合のいいことしか聞いていない、または都合よく解釈する、思い込みが強い、などは分かっていたこと。使用範囲を制限するなど、管理を徹底すべきだった。
・担任の先生が、他の部署が言い出したことだからと当事者意識が低かったことが考えられる。
https://magomago1.org/306personalcareinthespecialeducationscool202012/
前回のブログは「310)特別支援学校と福祉用具の処方」でした。
https://magomago1.org/312isitokthatteacherschatting202012/
次回は「312)授業中の大人同士のお喋り、可か否か」になります。