学校の文化 担任の先生より

333)特別支援学校 こどもが叩いた、噛んだ、ひっかいたとき

今回、特別支援学校あるあるですが、こどもが教員に対して叩いたり、ひっかいたりしたときどうしているか書いてみます。

【起こる時】
叩いたり、ひっかいたり、噛みついたりすることを総称して「他害(たがい)」といいます。
逆に、自分に向いてしまうのを「自傷(じしょう)」といいます。

よくあるのは、自分の想定していた状況と違ったことへの抗議や、それに対するイライラをぶつけてくるときで、他にも構って欲しいという訴えであったりします。

身近にいる教員がその対象になることが多く、傷だらけになっている先生はいますし、昔の傷跡が消えないということもよくある話です。

【他害に対する考え方】
よくある考え方ですが、「先生のことを信頼しているからこそ」、「言葉にできないから、思いをそんな方法でぶつけるしかないのよね」と行為に対して容認したり、名誉の負傷のように扱われたりすることが多いです。ヘタをすると、先生の指導を見直す必要がありますね、的な追撃を食らうこともあります。

【保護者に対してどう説明するか】
ある生徒が教員に暴行を加えたとして、それに対してどうするかですが、基本的に他害はネガティブなことなので保護者に伝えずにいます。

理由は三つあります。

1つは「教員の指導に問題はないのか」とブーメランがくる可能性です。このブーメランは保護者からくる場合もありますし、上司からくることもあります。なんとかしたくても、学級にいる他の子どもの指導を考えると対応が難しいこともあるので言い出せないケースがあります。

2つめは、子どもが行っていることを知り、「保護者が傷ついた」と言われる可能性がある、ということが挙げられます。保護者との信頼関係を重視する昨今の学校教育において、理由は何であれ保護者の心象を害することは悪だとされます。更に「うちの子の心も傷ついている」と言われたらおしまいです。

3つめは同僚との足並みが揃わなくなることです。こどもの将来に向けて、課題を共有して取り組みたいという教員もいますし、ネガティブなことに触れず機嫌良く一年を過ごしてもらえばそれでいいという教員もいます。次第に落ち着いてくるだろうから波風たてず時間をかけて育てましょうという教員もいます。どれもリスクがあり、何ともいえませんが石を投げた教員は、それ以外の教育観をもつ教員から眉をひそめて見られるかもしれません。

【他害するということ】
いずれにしても、他害は暴力であったり、傷害であったりします。そのため、しないように取り組むことが必要だと思います。そのため、家庭との連携が必要と思っても、「保護者も大変だろうから、なんとか学校で…」と抱え込んでしまうことがよくあります。

では、どんな保護者なら伝えるのかというと、「何でもあったことは伝えて欲しい」と言われた場合です。行事などの場で教員に手をあげているところを見ていれば、「うちの子に限って」はないはずで、伝えたからには適切な人間関係をつくるための指導の戦略を保護者と共有しています。


https://magomago1.org/332teachersactivelearningneedsindependence202101/
前回は「332)特別支援学校 教職員の主体性を促す助言・指導の仕方」でした。