担任の先生より OT・PT・ST

351)特別支援学校 肢体不自由部門の車椅子の調整(反り返りに対応する)

肢体不自由部門には、車椅子に乗っている子どもが多く在籍しています。
車椅子にはいろいろな目的があり、子どもの状態に応じた工夫がほどこされています。

【車椅子の工夫あれこれ】
部品をつけたり、形を変えたりします。

①せもたれ:おなかから上も姿勢が安定しにくいとき、背もたれつきの車椅子を使います。
②ヘッドレスト:形はいろいろ、頭の落ち着き場所をつくります。
③胸ベルトや腰ベルト:体が倒れたり、背中を反り返らせて落下したりしないようにします。
④テーブル:肘や手を置くことで、姿勢の安定性を向上させる、など。

【テーブル】
テーブルは善し悪しです。

肘をつけることで支持面(点)が広くとれ、お腹の緊張が低くて座位が安定しない子どもが体を支えることができます。

まずいかなと思われるところは、肘をテーブルにつけることで支点ができ、そこから体を反り返ることを誘発、または強めることにつながる場合があります。

姿勢が大きく崩れなければ、落ち着いて座っていられる場所は必要だと思うのが持論です。

【だって、こわくない?】
体が安定しない、なんだかグラグラするような状況で、安心して過ごせるでしょうか。

例えば、机を三つほど積み上げて、その上に登ってみましょう。

じっとしていれば、落ちないと思いますが、そこで「緊張しないでリラーックス」、「手をバンザイして体操してみましょう」などと言われて、手をとったりされたらどうでしょう。

体をかたくして、心身ともに緊張は高まると思います。

しかし、例えば安全ベルトでつられていたり、ガッチリした手すりが左右にあったりしたらどうでしょう。少しは心理的な不安が減って、安心できるのではないでしょうか。

座位が安定しない子どもは、落ち着くてがかりがつくりにくく、身体のイメージも常時動いている人のようにはっきりしていないと思うのです。そんなこともあり、車椅子の環境設定を考えるとき、外からウィークポイントを把握して埋めること、日常支援している人の利便性を考えることはよく行われますが、乗っている本人がどう感じているか、イメージを働かせることも同じくらい大事だと思います。

車椅子の上は、その子にとって、どんな環境でしょうか。

https://magomago1.org/349nomanualworkmakeyounothinkingperson202103/
前回は「350)特別支援学校 マニュアルのない組織の仕事」でした。