学校の文化 担任の先生より

390)特別支援学校 集団の指導はオーケストラを奏でるように進む

新年度が始まり、ほぼ半月が経とうとしています。
はじめてかかわる児童生徒はどんな人なのか、次第にクリアになってきました。
初めて一緒に仕事をする学年の教員はどんなことが得意で、何が不得手で、どんな教育観があるのか、少しずつ分かってきました。

職員朝会が始まってから、児童生徒が下校するまで、必ずあるのが登下校の支援と、授業です。
コマ割りの授業によって、集団はまとまる・解散を繰り返します。
教職員の出張、他学部応援、休暇、個別指導は教職員と児童生徒の人数のバランスを変えてしまいます。それでも、怪我をさせない、支援しながら集団のなかで過ごせるようにと日々苦慮しています。

【5対2】
以前いた学級は、生徒5人と、教員2人でまわっていました。

私がある生徒と排せつ指導に向かうと、もう1人の先生は残りの生徒を見ていなければなりません。
その時はそれぞれ椅子に座って1人課題をしていました。

作業学習のため木工室に向かうときは、私はある生徒と手をつなぎ、後ろから男子生徒2人を並ばせて木工室に向かいます。もう1人の先生は、女子生徒2人を連れて着替えの指導をして木工室に向かいます。

誰かが動けば、誰かがとどまり
分かれて行動しても、授業の始まりとともに集合する
誰かがもれないよう、人数比とタイミングを合わせる

歩調を合わせるポイントは授業の枠と給食と、人数比が変わるときです。
それらはまるで、五線紙に記号を描きながら演奏するオーケストラのようです

全体を見てバランスをとらないと零れ落ちる人がでてきますし、
自分のことだけを考えていると、周りに迷惑をかけます。
誰かのことを忘れていた、ごめん、は通用しません。

重宝されるのは、個の指導に長けていることだけでなく
集団をとどめおく能力や、複数の児童生徒を抱え込めること、
そうして、今の状況なら、どのような組み合わせで全体が機能するか計算できる人です。

同じ数ずつ教員に児童生徒を割り当てるなら、誰にでもできます。
体力、相性、性別、次の授業に向けての環境づくりなどの観点を加味します。

もっとも合理的で穴のあかない指導体制をどうやってつくるか。
これができないと、学部主任は難しいです。

オーケストラの指揮者はいつ、誰がどんなタイミングで動き始めるか把握しているじゃないですか。
この点は特別支援学校の教員と、求められるスキルが似ていると思います。

今日も指揮者になったつもりで全体を動かし、誰に付くか決め、笛を吹いたり、太鼓を叩いたりしながら過ごしています。



先回は「389)特別支援学校 図画工作・美術で手を使う」でした。