特別支援学校では研究授業といって、事前に指導案を書き、人前で授業を行うものが行われます。
大抵は教員になって数年間研修の一環で行うものと、学校で行う研究のために行われるものがあります。
そこでは、目標設定や児童生徒の実態、単元計画、授業の流れなどが書かれているのですが、あくまで見せるための授業で、教材も作りこまれており、単元の中でもクライマックスのような見せ場をもってくることが多いです。
授業の成果について、少し考えてみました。
授業の内容が分かった。
新規の学習ができた。
既存の知識・技能が強化された。
既存の知識・技能から、発展したものを身に付けることができた。
日常生活での行動の変容が見られた。
授業で経験したことから、気持ちを整えることが学べた。
などです。
よく言われるのが、「分かる」、「できる」、「くりかえし」です。
このあたりは通常学校での授業と考え方は似ていると思われますが、どうでしょう。
認知面や身体能力などを考えたとき、その時間でやったことが蓄積され、次の時間、次の時間とステップアップできる場合と、じっくりやらないと難しい場合があります。
「くりかえし」は多くの教育課題をクリアするために必要で、基礎・基本の定着から発展的に理解するには、手を変え、品を変え、根気強く取り組むことで力がついてきます。
日々の授業はいろいろな教科をまんべんなく、日替わりで行っているので定着という面では弱いところがあると思います。本当は「もっと繰り返しやって、反応や経過をみたい…。」と思うことがありますが、エンドレスに近い形で同じことを繰り返すことは年間学習計画や同僚への手前を考えると難しくて、少しずつ変える、ある一定期間行ったら次の単元に移る、などをやらなければいけないのかなと思っています。
【ADLの強み】
日常生活の指導や自立活動では個に応じた課題設定がしやすく、繰り返し取り組むことができます。
排せつや食事は登校するたびに、必ず実施することです。
排せつの指導は「排せつ」だけでなく、意思伝達、移動、立ち座り、姿勢保持、清潔な生活、順を追ってすすめるなど、意図すれば様々なことが学べる場になります。そう考えると、作業療法的な専門性のニーズはかなり高くなるのではと感じています。
前回は「391)特別支援学校 他職種・多職種とともに進むとき、気をつけていること」でした。