随分前のことになりますが、肢体不自由部門にいたときの話になります。
当時はコロナウィルス危機もありませんでしたから、大部屋のなかで給食を食べ、少し場が落ち着いたかなと思っていたときのことです。
そこは、高等部だったと思います。
【謝ってください】
出入り口の扉があき、少し緊張した面持ちの男子生徒が入ってきました。
後ろに、男性教員がついています。
生徒が口を開きました。
「〇〇先生、〇〇のときのことで、嫌な気持ちになりました、謝ってください。」と。
場が凍り付く、というより、止まっていたと言っていいと思います。
私は応援の教員としてその場にいたので、高等部の教員はどいうでるのか見ていました。
また、名指しされた高等部の先生(男性、比較的若手)はどうするのか、見ていました。
名指しされた教員も、面食らいつつ「あ、はい、すみませんでした。」と答えました。
それに対して、男子生徒は続けて、「気をつけて下さい」のような言葉を残して、男性教員と一緒に退室していきました。
【どうしますか?】
さて、もしみなさんがその場にいて、見ていたらどうしたでしょうか?
男子生徒には教員がいましたが、もしあなたなら、どう生徒に指導したでしょうか?
生徒が自分の学級の生徒かどうか、担任は誰か、学校における経験年数はどれくらいか、などによって対応が変わってくると思いますが…。
もし、自分が担任で、このような話になったら、担任(自分)が生徒のことを守れなかったことを謝罪し、何らかのことをやらかしたであろう教員には、「こんなことを言っていました、ちょっと配慮して頂けたら」と一言入れて場をおさめたと思います。
【なぜ、そう考えたか】
生徒は準ずる課程の生徒でした。
ということは、なんらかの形で就労するという可能性があると考えます。
会社で同僚または上司から、気に障ることをされたら、「謝れ」と言うでしょうか?
いくら正論でも、社会人としての人間関係と、目上であるが故にメンツ(顔)があります。
そこを傷つけたらどうなるかまで、男子生徒と、ついていた教員は考えたでしょうか。
勿論、学校と会社は違いますが、生徒は学校で学んだことを思い出し、「この場合はこうした」と行動するでしょう。その時、とりかえしのつかないことをやらかしたらどうなるか、教員は責任がとれるだろうかと考えます。
学校は出口指導ではないとキャリア教育ではそう言われていますが、出口を想定して指導することは必要だと思っています。
更に、彼らは公衆の面前で主張し、謝罪をさせました。
嫌な気持ちになったんだから謝ってもらって当然、「ごめんなさい」すべきだよね、は小学部までだと思うのです。まずは、うまくおさめる方法はないのか、考えることが高等部の指導だと思うのです。
前回は「404)特別支援学校 図画工作・美術の時間に使う新聞紙」でした。