場が混沌としているとき、ベテランと新人がペアで教室にいる児童生徒をまとめるにはどうしたらいいかについて、私見を書いていきたいと思います。
【介護現場の場合】
学校とは直接関係ないですが、介護の現場で見られる役割分担も同様のことが言えるので、まずそれを書いてみます。
場所:グループホーム
利用者の実態:車椅子から自分で立ちあがって転倒する可能性がある方、足下がしっかりしないときがあるけれど自立歩行をしたい方、大声を出して靴を投げたり椅子をひっくり返したりする方、など。
時間帯:午後4時ごろで、夕食の準備を誰かがしなければならない。
役割A:利用者さんの対応
役割B:夕食の準備をしつつ利用者さんの対応をいつでもできるように目を配る。
さぁ、役割AとB、ベテランはどちらをとるべきでしょうか?
一見マルチタスクの役割Bを担うことで場が安定し、夕食を時間通りに作ることを確約できそうです。
しかし、役割Aも多様な利用者さんを見ながら、どこに支援の手を入れるか判断が求められそうです。
【特別支援学校の場合】
場所:肢体不自由部門の小学部4年生教室
児童の実態:医療的ケアがあり、気管切開あり、バイタルの変動をよく観察していなければならない児童、歩行器で歩く児童、活動的で床上を移動でき、普段は座位保持で座っていることが多い児童。
時間帯:お昼前でトイレ誘導をする頃
役割A:歩行器で歩く児童と、座位保持に座っている児童の誘導
役割B:医療的ケアのある児童の観察
【ベテランか、新人か】
実は、以前は役割Aを新人がやって、役割Bは場を安定させるために中心的な役割としてベテランが担うべきだと考えていました。しかし、適材適所を考えているうちに、答えはその逆だと考えるようになりました。
少人数で、ある程度学級経営ができているうちは、大人として「どこを拠り所にしているか」明示することが必要なので、動かないことが必要なこともあります。
しかし、今回例示したのは場が混沌としている状況です。
実は、役割Aは複数の対象者を平行して、優先順位をつける、同じような対象者を同時にみる仕事です。
そうして、役割Bはその場でとどまりつつ、役割が明確であることが特徴です。
対象者や児童生徒の実態によって、選択肢は多少変わることがありますが、難しいのはAだと思います。
その場の状況判断と取捨選択が安全確保に影響し、過不足なく支援する判断が求められるからです。
【新人には何を伝えるべきか】
ベテランになれば、役割AもBもできるでしょう。
また、ベテランは自分が規準になれば、この場はまわると責任を抱え込もうとする傾向があると思われます。
では、新人は役割Aを与えられて、どうすればいいのでしょう。
同種の要素が求められるマルチタスクについて、判断を間違うと事故に直結します。
そうならないためにも、ベテランは新人に対して、まず役割Bができるよう育てるべきです。
また、新人は目先の対応に振り回されず、いざというときに任せてもらえるものを作るべきです。
役割と答えが明確で、型どおりの留意点を守ればできることから、複雑で臨機応変さが求められる仕事へとステップアップさせていくのです。
ベテランは自分がやって、自分が抱えて、指示を出していれば大丈夫と思う傾向があります。それよりも、非常時に対応でき、多少の動揺にもビクともしない、「機能するチーム」を作ることが、あなたのリーダーとしての資質を高め、構成員が自尊心をもって働くことにつながるのです。
https://magomago1.org/467ihaveinjectedcoronawakutin202108/
前回は、「467)特別支援学校 ワクチンの職域(教員)接種しました」でした。