特別支援学校に初めて入ったのは、肢体不自由の学校でした。
肢体不自由の学校のトイレでは、手すりや簡易的な柵付き(手前)の寝台があったりして、公園やデパートで見るようなものと随分違うと戸惑ったことを覚えています。
【場所】
トイレの場所は教室が並んだ列に、2~3か所あることが多いです。
通常学校のトイレでは、1フロアの一列ごとに男女1組くらいだと思います。
なぜこんなに多いのかというと、授業ごとに定時排せつを促すということで、何人も一度にトイレに向かうこと、1教室あたり5~6人として、それが一度にトイレに向かうと順番待ちが多発すること、立位でなく臥位でおむつ交換をする子どもが何人もいる、男女別で用途を分ける必要がある、といった事情があるのです。
【便器の種類】
便器の種類について、いくつか分け方がありますが、男子用小便器、洋式便座、ベッド、座位保持つき便座(オーダーメイド)、になります。
男子用小便器について、両サイドに手すりがついていて、多くは膝下のところで受けのある便器が多いです。立位がとれる子どもを対象にしていますが、ズボンや下着を膝下まで下げてしまうために、排せつした尿が下に垂れて衣服を濡らしてしまうこと、下を見ないので性器の向きなどが調節されておらず、尿をまきちらしてしまうことなどがあります。
洋式便座を使うには、持続的な座位がとれることが前提になります。また、周囲のものに手を伸ばしたりして転倒しないことも重要です。手すりもついていることもありますが、車椅子からの移乗に失敗して便座と車椅子の間にはまって出られなくなったという事例があります。他にも、性器いじり、たまった水に手を入れる、トイレロールを落としてつまらせる、などもあるので、身体機能以外の評価(アセスメント)が必要です。別途付属品として、便座にとりつけるおまるのようなパーツ、足置き台などを準備することがあります。
ベッドを使用するのは、立位や立位保持、座位保持が難しい子どもに使用されます。あまりに動くのでズボンなどのあげおろしの支援が難しいときに使う、つかまり立ちをしてもらうときに利用するといった場合もあります。よくあるのが転落です。フロントに柵ができるものもありますが、ない場合は一連の支援が終わるまで、転落しないよう支援者がブロックできるようにしながら、必要な物品を集められることが必要です。そのため、近くに棚や吊り下げのカゴなどを配置して、おむつ、尿パット、トイレロール、おしりふき、ゴム手袋、ごみ袋、消臭や消毒スプレー、古新聞などを準備しています。家庭から持ってきてもらったものなどは、個々の名前を書いたスペースに分けられています。
座位保持つき便座は、持続的な座位がとれないこどもに使用されることが多いです。多くはテーブルをつけることができ、両上肢支持による姿勢保持と、腹圧がかけられるようにとの配慮がされます。姿勢の崩れなどがある場合は胸ベルトなどが使用されます。この座位保持つき便座は、年齢や身長などにより大きさが異なるため、小学部や中学部、高等部それぞれに保管しており、必要に応じて毎年セッティングされます。中学部から高等部に進学があったときは、中学部で使っていたものを持ち上がることもあります。そのため、成長対応のために使える便座がないか、倉庫を探したり、他学部に声をかけたりして対応します。
https://magomago1.org/492aboydontkeepachildhooddays202110/
前回は「492)特別支援学校 子どもに見られる第二次性徴」でした。