学校の文化 担任の先生より

522)特別支援学校 教育実習4日目 真似ても、いい授業にはならない

実習中、いろんな先生の授業、教科の授業を見ることになると思います。

私は、まずどんな流れで45分や50分の授業を進めるか、何かを示すためにどんな教材を使っていたか見て欲しいと思います。授業は「導入、展開、まとめ」の流れで進みますが、授業の核心に迫るために、話をどのように展開していくか、人それぞれなので、持ち味を感じて欲しいです。

良さげでも、まずそうでも、見たものは持ち札になります。何かを伝えるために、どんなふうに説明すれば相手が分かるか、授業の流れを理解しておくと口頭説明やプレゼンをするときに役立ちます。ただ、授業をするときに引用するなら、教材などの作り方を知っておくことが必要です。

「そのカードの材料は何ですか?」
「その箱は、どんなふうに折りたためば、そうなるんですか?」
「その機械は、どこで買ったのですか?」
知らないと、いざ自分でやろうとしても、限られた時間の中で準備することはできないでしょう。

授業を見せてもらって、こういった発問をすることで、教材づくりだけでなく、その先生が見た授業に至るまでの試行錯誤についても聞くことができるでしょう。それは、他では得られない財産です。

【授業を真似る】
随分前になりますが、私も小学校で教育実習をしました。
隣の学級の国語の授業を、後日はいらせてもらっている学級で行うことになりました。
この国語の授業の範囲や内容を、どんなふうに伝えていくんだろう?と関心をもって見せて頂きました。どんな発問を投げかけ、どのタイミングで児童に教科書を読むよう促し、何を伝えて終わるか、頭にたたきこみました。そうして後日、そのまま授業をやってみました。

結果、あまりうまくいった実感がなく、達成感が得られませんでした。
いい授業だったか、そうでなかったか分かりませんでした。
しかし、今では何となくその理由が分かります。

【理由①何を学ぶ授業だったか】
授業を通して、何を学ぶ授業か理解できていなかったのが1つだと思います。自分がしたことは、「授業の枠のなかに、どんなメニューを入れて終わらせるか」であって、核心に迫っていく進め方ではなかったということです。

【理由②対話的でなかった】
今、自分の目の前にいる子どもと対話するように発問や言葉かけができなかったと思います。同じ質問をしても、学級が違えば、子どもが違えば、教える教員が違えば、かえってくる答えは違うはずです。そこをとらえて、学びを進めていくことができなかったと思います。

【理由③教員が違えば、同じことをしても伝わらない】
ここは特別支援学校の授業でも、教育実習生の先生が行う授業でも、同じことがいえると思います。

いつもと同じ先生が、いつもと同じ場所に、いつも見ている教材の箱をもってきたら、どうでしょう?
「あ、これは前にやった内容をまたやるんだな」と予見できるでしょう。

しかし、同じ教材の箱をもってきても、目の前に来た先生が別の人だとどうでしょう?

「箱は同じでも、中身は同じだろうか?」
「いつも上から順番に教材を出してくるけど、この先生はどうするんだろう?」
「同じ教材の箱だけど、少しやったら、他のものを持ち出してくるんじゃないか?」
「いつも通りやって、いいと思っていたのに、それは違いますとか言わないかな?」

同じことをするから同じ、それは教員側の論理であって、子どもからするとスタートです。
何を繰り出すか、何を求めるか、示して初めてスタートラインに立てるのです。

なので、真似たからうまく授業ができる訳ではないと思います。同じ学習目標であっても、教える側がその意味を理解し、自分の言葉で児童生徒に向き合えなければ、良い授業にはならないと思うのです。