学校にはカルテはありませんが、子どもの情報をまとめたファイルはあります。
そこによく書かれている病名は「脳性麻痺(CP)」が多いです。
確かに、中枢性疾患とするなら、脳性麻痺としておけば間違いないだろうと思いますし、実はこういった疾患名が出ていないと手帳を取得するときの手続きが進まないというのもあります。
この曖昧さ、亡くなったら死因が「心不全(心臓が止まった)」になるのと同じくらいモヤモヤします。しかし、それでも医師がつけた診断には、それ相応の権威があり、その子の実態を説明するとき避けて通れないものになるのです。
【情報を整理して集める】
診断名以外に、その子の実態を把握するために必要な情報を日々集めているでしょうか?
脳性麻痺は、胎児時期から生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指します。また、脳性麻痺はアテトーゼ型、痙直型、固縮型、失調型、混合型に分類されています。
もし、痙直型脳性麻痺と診断がついていたら、痙直型の特徴は何か調べるでしょう。そうして、その子の状態がそうなんだと考えるでしょう。しかし、これだけでスタートラインに立てたとは言えません。実際はピュアな痙直型脳性麻痺より、ちょっとアテトーゼ(不随意運動)があるよね、失調(運動の調整がうまくいかない)があるよね、といろいろなものが混じっていることが多いと感じます。
脳はいろいろな機能をもっていて、運動だけでなく視覚や聴覚などの感覚や認知、記憶、情動、抑制などの機能をもっています。脳性麻痺は脳の障害ということで、様々な部位に影響を及ぼします。そのため、診断名だけでは説明できないものが隠れていることがあります。
「低緊張で、ふらつきがあるね」
「どれくらい見えているのかな」
「話す声が聞こえているようだけど…?」
この原因を1つずつ明らかにしていくことで、その子が必要としている学習や介助方法、リスクが見えてきます。教員は診断できませんが、学校生活のなかで見られることを検証して、実態と指導を適合させていくことはできます。
【風邪】
くしゃみや寒気、頭痛などの風邪症状がでたとき、風邪と診断がつかないと対応できないとは思わないはずです。見えているものを受け止めて対応するなら、風邪症状があるとして暖かくして、水分をとって、氷のうを頭にのせて、風呂には入らず…と考えるでしょう。
【求めていること】
こどもの状態(症状)は何でしょうか?診断名も大事ですが、見えているものを素直に拾うこと、仮説をたてて対応すること、必要に応じて裏付けをとること、それでいいと思います。
学校生活のなかで見られる子どもの様子について、まだまだ「?」が多いです。それが何か、一緒に考えられる人がもっといたらと思っています。