このところ、ベテランが上で、新人が下、なんていうことが段々言えなくなってきています。
仕事が過密になり、分業が進み、昔の様にベテランの下に新人がついて、仕事の仕方を一から教える職人的な人材育成ができなくなっています。
ベテランも新人も、雇用的に1人の人材なので、それぞれ責任をもってやってもらうというスタンスです。
これによって起こる弊害はいろいろあると思います。
①教育委員会などの現場離れした研修(理想論)が現場での研修(経験的な仕事術の伝承)を上回り、理想と現実の乖離が若手教員の中でストレスにならないか。
②効率的かつ独善的に仕事をこなす教員が増え、組織全体をみて調整する機能が働きにくくなる。
③人かデータか、仕事の仕方を伝えるマニュアルがどこにあるか不明瞭になる。
④個々に異なる仕事を抱えているので、振られた仕事を一緒にこなす機会が減少する。
⑤採用されてすぐに一人前の仕事を要求されるので、授業づくり、児童生徒の指導、保護者対応、校務分掌、職場の人間関係などの多様な適応を求められ、バーンアウトする新人が増える。
⑥得手不得手、経験の有無を考慮しない仕事の分担になるので、個々の教員が効率的に仕事を進められないケースが増える。
【年長教員はグズ】
昔に比べて、今の新人教員は全体的に優秀だと感じます。全体的に若手教員はパソコンやネットワークの使い方、理性的な児童生徒や保護者への対応、場面に応じた判断力などは合理的で最善の方法を導き出すことができるようです。
その反面、ベテランと言われる教員は、パソコンの基本的な操作ができない、カラカナの用語がでると拒否反応を示す、経験的で感情的、全体主義的かと思えば突然ワガママな主張を始めるなど、厄介です。
こんなことを書いていると、「人によって違う」、「主観的なことを」と言われるかもしれません。が、あくまで学校の現場にいて、そんな傾向があるのではという話です。
【新人に任せればいいのか】
優秀だと感じられる新人ですが、彼らに任せておけば大丈夫なのでしょうか?私はそうは思いません。
彼らが得意なのは、レールや選択肢が決まっていて、同じ土俵で相撲がとれることが前提の、まるで新幹線のようなものではないかと感じています。想定しないアクシデント、理屈の通じないモンスター(校内外問わず)、判断が難しい選択、これらを求められたとき、経験が浅いと、新人の先生はとたんに無力で頼りない存在になってしまいます。
【違い】
ベテラン教員は経験と選択肢を多くもっています。これまで自分が悩み、苦しみ、乗り越えてきたものがあるでしょう。隣の教員がこんなことに直面し、どうやって解決してきたかも見て知っています。目の前で起きている問題をどのように解決するか、経験をもとにして策を練っていきます。ただし、この対応力は、年数を重ねればよいというものではありません。問題があるたびに逃げ出してきた人や、当事者意識がもてなかった人には難しいことです。
すきま時間をどう過ごすか、場が混乱して指導体制がとれないときどうするか?などの場合も、多くのベテランの教員は人や場に応じた対応方法を検索することができます。
【大事なこと】
教員がもっている個々の能力を発揮し、課題に落ち着いて対応できるよう、仕事の量や質、時間などを過密にしないことが重要だと思います。また、自分の器を広げるには、自分だけでなく他の教員がどうしているか、よく観察することが大事だと思います。