担任の先生より OT・PT・ST

609)特別支援学校 最短距離か、トータルか、専門性の使いどころ

「オーバーザトップ」って映画を知っていますか?

ロッキーで有名なシルベスター・スタローンが主演の映画ですが、ボンクラ親父だったので嫁と子どもを義父に持っていかれて、理由は忘れましたが、トレーラーの運転手をしながら右腕をガシガシ鍛えて、腕相撲のチャンピオンになるっていう映画です。

あ、浜村淳みたいに、ネタバレひどかったですね。
今でも面白い映画だと思うので、レンタルなどで観てみてください。

【目的志向】
映画では、腕相撲のために右腕を徹底的に鍛える、という目的志向型のトレーニングをする、という分かりやすい展開になっていました。動機づけをストレートに形にする、シンプルかつ強い目標設定だと感じました。

実は先日、学校で理学療法士から「机上課題で求める動きはこうなので、右手をこのように集中的に使う練習をしては」という提案があったそうです。

そこで感じたモヤモヤですが、「目的のために練習して、副作用的なものがでないか、次につながるものかどうか」が聞いていてみえないので、安易に「やってみたら」とも「やめとけば」とも言えませんでした。ということで、「うまくいくかは分からないけれど、目的意識をもって取り組んでみるのはいいことだから、やってみたら」と半分勇気づけ、半分逃げました。

【モヤモヤは何だろう】
理学療法士の助言・指導は、〇〇先生にはいいカンフル剤と思いつつ、どこかモヤモヤしていました。

①課題の原因に焦点をあてた取り組みはいいけれど、間違った評価で的外れなことをする教員が増えないか。
②その子どもにとって大事な課題はそこだとして、他のニーズを置き去りにしてしまわないか。
③片手だけでなく両手を使うなど、バランスのとれた学習を基盤とした学校生活が歪んだりしないか。
④それができたら、次に何につなげるか考えないと、その場だけ達成感を味わって終わるものにならないか。
⑤個別の取り組みに入れ込み過ぎて、他の子どもを置き去りにしないか。

気になったのはこのあたりです。
わたしは実態や課題設定をふまえながら、誰でも支援でき、複雑で高度なことを求めなくても支援できる基礎的な生活が第一だと考えています。高度で焦点化された取り組みは機会を探って設定します。

多分、このあたりが医療職の専門性を学校のなかで活かす形なのかなと感じています。

何を考えながら、今の学級の動き方を決めて行ったか
何を優先順位に考えているか
この学級の子どもがもつ課題は何か
この指導をしながら、何を見て考えているか

これらを共有しながら支援を続けることで教員の視野と力量は向上するはずなのですが…。