学校の文化

610)特別支援学校 あなたが担当です、よろしく、以上

年度末になってきました。学校では卒業式に向けて動いている頃です。
卒業式、入学式、どれをとっても1人の職員がすべてを統括して準備している訳ではありません。

イベントごとに、係になる教員等が集められ、誰が何をするか分担していきます

仕事の全容は分からなくても、縦割りで役割があるのですが、実際何をする仕事なのか分からないことがほとんどです。いや、前年度にでもやっていれば多少イメージはあるのでしょうが、ほぼ未経験の仕事がさらっと振られています

【何の仕事だろう?】
ある仕事が振られたとして、それは何をする仕事なのか?

学校は広く、仕事の範囲も広く、人員は大勢います。
そのなかで、どういった仕事を、どれくらいの質で、どんなルールを守って進めたらいいのでしょう?
そんなときは、過去のデータやファイル、前年度にその仕事をした人をつかまえて聞くしかありません。

データを探ってみました、それらしい記録はありません。
ファイルを見て見ました。実施要項などはありますが、それを作り上げるまでの過程の記録はありません。
前年度にやった人は誰だろう?え!異動していない?

この分からない事実をつかむまで、すでに何時間も使っています。

しかし、割り振られた仕事の手がかりさえありません。
こんなことばかりしていられない、明日の授業の準備をしないと!
すでに職員室に残っている人は5人くらい、時計はもうすぐ夜9時になろうとしています。
最終退勤になると、施錠などしなければならない…、ここはあきらめて、行事担当の先生にどうしたらいいか聞いてみよう。

【翌日】
子どもたちが帰宅し、所属学部の会議が終わりました。
すでに退勤時間を少し過ぎています。行事担当の先生は…と職員室を見回します。
不在なので、近くにいる先生に聞いてみました。

「あの、〇〇先生はどちらにいらっしゃいますか?」
「あぁ、〇〇先生なら、保護者面談のあと帰っちゃったよ。」
教員は個々に仕事を抱え、それぞれ自分で計画をたてながら進めています。
他学部の先生なら尚更です、なかなかタイミングが合わず、つかまえることができません。

「メ、メールならタイミングが合わなくても状況を伝えることができそうだ」

メール機能を使って問い合わせをしてみることにしました。
時間と労力を使いながらも、あなたの担当の仕事は一歩も進んでいません。

【よくある】
私が在籍した特別支援学校のいくつかで、このような状況が起こっていました。
①分かる人が1人で、その人が何でもやってしまって、後進の教育をせず、資料も残さずやりっぱなしで異動してしまった。
②割り振られた仕事をこなして終わるだけで、どんな過程を経て仕事をしていったか、後進に向けた手がかりを残していない。
③資料は残っているが、完成形のみで過程(プロセス)が分からない。
④使った資材をどこで調達したか、人員をどこから確保したか、などの記録がない。

これはまずいと考えた人が、担当ごとに記録を作るよう要請し、どのようにして仕事をすすめたか記録するようにしていました。
手がかりのない仕事、これが新しい教員(異動してきた人も含め)を長時間労働に陥れ、疲弊させる要因の一つになっています。

この状況はレアケースでないこと、経験則がそのまま使えず、学校ごとに仕事の分担方法や進め方が違うので、ベテランであっても手間と時間を費やします。子どもの指導以外の仕事は見えないけれど、これもまた負荷が大きいです。

私が定年退職して、非常勤なら子どもの指導だけでいい。しかし、常勤講師になると子どもの指導に学校経営も入ってくるので、それも同時にこなすエネルギーが必要です。このようなことばかり続けられるのか…?

私の定年後の生活設計は、いまだに定まりません。
イヤだよな…こんな効率的でない、消耗する仕事…。