学校の文化 担任の先生より

623)特別支援学校 発達段階の掲示がでていました

校内を歩いていると、言語発達を促すアプローチ、福祉機器、発達段階などを示した掲示がありました。

掲示の意図は次のようなものだと思います。
①学校では医学的知識やメソッドを根拠にして指導を行っている。
②子どもの発達を見据えた指導を行っている。
③保護者や地域の方に対して、子どもの生活に必要な情報提供を行っている。
④教職員の専門性の向上に貢献している。

【①医学的知識や学習のメソッド】
「自立活動は学校生活全体を通じて行う」とありますが、訓練的アプローチと授業の取り組みの融合はまだ十分でないと感じます。発達を促す専門的なアプローチは、それ相応の時間と内容がないとできないと思い込んでいる教員はまだまだ多いです。①を強調しようとすると、日常の学校生活と乖離した環境がにわかに出現することにならないかと危惧しています。学校は療育センターのリハビリテーション科とは違うのです…。

【②子どもの発達】
「〇か月段階では、〇〇を獲得する時期なので、こんな教材を使って指導します」みたいなものでした。

段階付けや、子どもが成長するうえで、どのように基礎をつくって伸びていくか、の参考になります。それぞれの段階で、具体的にどのような能力や経験を獲得するのか、更に細かく分析したり、理解したりできていれば、指導内容を考えるときの参考になるでしょう。

しかし、これを視覚的に分かるように提示することで、課題がでてくると思っています。

保護者にとって、その情報はどんな意味をもつか想像すれば分かります。まず、自分や友だちの発達段階をみて、序列化してしまったらどうでしょう?以前、担任をしていた子どもの保護者から、「うちの子どもは、友だちよりも発達段階が低いので、迷惑をかけていないでしょうか?」と言われたことがあります。

私は、「発達段階といっても、分野によってそれぞれ得意不得意があって、バラつきがあります。得意なことは違うので、それぞれの良さを組み合わせて進めていきます。」と答えたのですが、どれくらいの段階か、公の場で示すと気を遣うなぁ…。

科学することは物事が明確になって、分かりやすい面もありますが、子どもの実態がどうで、何をしたらいいか迷っている教員にとって、発達段階はなわとびの級のように明解な目標設定と感じるかもしれません。そこに価値を感じることで、学校生活が個別の学習タイムや訓練的になったりしないかと危惧しています。