担任の先生より

657)特別支援学校 卒業生に声をかけるか、かけないか

教員には異動がありますが、そんなに遠くに行くわけではないので、卒業生の生活圏に重なることはよくあることです。あまり近すぎると、スーパーで買い物をしている様子を見られていて、「先生、特売のコロッケ買ってた?」などと後日聞かされることがあります。目撃談を聞かされてから、少し離れた所に買い物に行くこともありました。

それは、児童生徒にとっても同じことで、駅のホームや、車両内で卒業生をみかけることがありました。おそらく、向こうは気づいていません。駅員さんに声をかけて移動支援を依頼すること、車内では誤作動がないようにじっとしていることなど、学校で学んだことが活かされていると感じます。

そんな様子を見て、声をかけるべきかと考えます。
「仕事どう?」
「いま、帰る途中?」
「後輩が同じところに就職したよね、頑張っているかな?」
などです。

多くの場合、彼らはもう児童生徒ではありません。
20歳を越えた成人です。
それぞれの世界で頑張っているのだから、見守るだけで十分じゃないか?
わざわざ、先生面して話しかけていくなんて、軽率じゃないか?
それと同時に、彼らが学生だったときに教員らしいことができていたか?

成長した彼らを前にして、今の自分はどうなんだ?と自分の中でモヤモヤした感情がでてくることも事実です。
また、彼らにとって、取るに足りない過去だと知らされることを恐れているのもあるかもしれません。
自分のした仕事が、思っているより小さかったっていうのはショックじゃないですか。

という私も、義務教育段階でかかわった多くの先生の仕事がどうだったか、今の自分にどれくらい役に立っているか、それほど覚えていないので、仕方ないんですけどね。