学校の文化 担任の先生より

681)特別支援学校 プールは涼しいうちに実施、大丈夫?

コロナウィルスがまたまた猛威をふるっています。

水泳指導が中止されるかどうかですが、教育委員会の指示、他の学校の様子、などを加味して決定されます。これらは外的要因になりますが、校内の救急対応体制、在籍する子どもの実態(傾向)、学校長のリスク許容の範囲をふまえて最終決定されます。

【近年の水泳指導の傾向】
全体的に気温が上昇傾向で、気温と湿度の状況をみて判断すると実施計画をつくっても、実際入水できるのは数回ということが何年も続いています。コロナが始まる前から、熱中症対策として水泳指導は予定すれど、実施できず、が続いていたのです。

ここで保護者や管理職からでてくる意見が
「なんとか入れるようにできないか?」
「できる時期にずらせないのか?」

年度始めから体育などに関する部署が、授業や教材研究の合間に会議を行い、プールをとりまく設備・物品の確認、塩素消毒などの補給、清掃などにかかわっています。開始時期や入水順なども検討したうえで実施要項を全校教員に配布します。水泳指導のお知らせのような保護者告知も作成され、配布されます。そうして7月頃に始まります。実施か中止かはプールの設備面にも、かなり影響されると見ています。

室内か室外か
室外の場合、屋上にあるか、校舎の間にあるか
開閉式の天井があるかないか

このあたりが大きいと思います。やはり天候や気温・湿度に影響されやすいのは屋外かつ校舎の天井にプールが設置されている場合でした。おそらく、校舎をつくる際、一年中使わないプールを平地に置くと土地の有効活用できないばかりか、侵入して溺死するなどの事故が想定されやすいところから、日常の教育活動の導線を妨げず、施錠などで管理しやすい屋上などに設置されるのだと思います。

【対応案】
よく検討事項にあがるのが、「水泳指導の開始時期を早められないか」です。しかし、これはなかなか実現されません。なぜでしょう?「なんとかできるようにする」と多少のことは強引に実施にもっていくのですが…。

【年度始めすぐに動けない理由】
新年度の教員体制が揃うのは4月、まさに烏合の衆からのスタート

教員が児童生徒の情報を咀嚼しきれていない。

児童生徒の変化への対応、観察するポイントなどが理解できていない。

児童生徒の変化をどう解釈するか、経験則がたまっていない。

水泳指導に入るには、耳鼻科検診などの検診を経ないと許可されない

水泳指導は体育に含まれます。年度始めいきなりのイレギュラー時間割設定は教務への負荷が高い。

春先の遠足(これも結構負荷が高いのですが)などの行事が実施できない。

様々な行事が秋に集中する傾向が近隣の学校も増えるので、宿泊地などの競合が増える。

水泳指導に関する手続きはマニュアル化するなど、改善の余地はありますが、人間関係や情報の理解は経験値を重ねることで身に付くものがあります。学校では複数の学級やグループが入り混じるので、自分の学級だけ分かっていればそれでいいとは言えません。そもそも論ですが、プールの管理は教員への負担が大きく、プールの維持は薬品の購入、水の補充などお金がかかります。

学校は決められたものを、決められた資源を使って実施するところです。それらが天候や地域の実情、感染症、社会の動向や価値観等によってどうするか検討されるのですが、これだけ運用が難しくなっている現状をふまえると、今まで通りの指導をどうするかに加えて、妥当な取り組みかどうか検討することも必要になってくるのかなと思います。