学校の文化 担任の先生より

684)特別支援学校 栄養教諭は大変なんですよ

今日は、栄養教諭について話をします。

栄養教諭について、職員室ではなく事務系職員と一緒にいることが多いので、日常的なかかわりがありません。が、学校にいる限り留意すべきポジションにいると思っています。

主な仕事は、「給食の段取りをする」です。

調理する人が都道府県の職員に該当するなら、一定の環境が保証されると思うのですが、外部業者の入札で校内の調理員がきまるとなると、結構大変だと思います。

「この学校の調理スペースはこんなです」
「調理をするための手続きやルールはこうです」
とか、説明して、それらが適切に遂行されるように管理することにもなります。

更に悲しいお知らせがあって、栄養教諭自身が異動してきたばっかりで、前任者が必要な準備をしてくれているから、とか言われても、実際の経験を伴わないものばかりなので、「訳分からん」状態だと思うんです。それでも、「あんたは職員だし、栄養教諭はあなただけだから、当然責任とってやってね。」とか言われるんでしょ、私だったらたまらんと思うんですわ。

給食の内容は、小学部が何人、中学部が何人、高等部が何人だから、合わせてどれくらいと、例年の量が分かるのだから、足し算とかけ算と引き算ができれば、おおよその量が分かると思うんです。しかし、曲者なのがアレルギー対応と形態食です。量の計算と、調理の場所とタイミングを段取らなければならないでしょう。更に大変だと思うのが、1人について、「これは普通食、これは形態食」とか、やたら個別対応が多いものです。いくらですよ、個に応じたとはいえ、本来大量に作って、それを提供することを想定した調理員配置、この細やかな対応は無茶振りだと思って見ています。質や個別を求めるなら、それに応じたヒトとモノを準備するのが筋と思いますが、それが十分でないのが日本の学校教育の実態です。

材料の準備や発注も栄養教諭が行います。必要な栄養素が決められていて、給食費(予算)におさめることが必要で、何やら地元の食材を使う、国産品を使う、などの条件がからんできます。食材の高騰が気になる昨今、給食費の値上げが必要だと思うのですが、「値を上げる前に、なんとか工夫しろ」が先にきます。それでもどうしようもなくなって値上げを告知すると、たいてい保護者や(なぜか)教員からクレームがでます。「経済状況が厳しい家庭だから」、などの声がでるのですが、食べるお金や家庭の労働のケツ拭きに話が及ぶようなら、「こちとら文部科学省管轄だ、それは厚生労働省でなんとかする話だろうがー!」と言いたくなります。

さて、こんな話はおいといて、栄養教諭には日々の給食を提供するだけでなく、食べる・食べないの段取りもはいってきます。校外に出る行事があると給食は食べないのですが、いつ、何人食べないかについて、材料の調達にもかかわってくるので早めに把握したいのが準備する側の心情です。担任としても、食べない給食費を払うことにならないよう、事前申請するのですが、たまに忘れる方がいらっしゃいます。そんな場合、担任がなんとかしろとねじこんできて、栄養教諭がすごく困っている姿を見たことがあります。

昨今は、食事の重要性を指導するということで、研修の開催や、授業をすることが求められているようです。しかし、本来児童生徒の生活環境を担っているのは保護者で、その保護者の事情をふまえて、支援する役割は学校の栄養教員が担うべきなのか?と思っています。それを言うなら、まず厚生労働省頑張ってよと。

今日は、栄養教諭についてお話させて頂きました。学校について、義務教育を経ている限り、みなさん知っていると思われていますが、実は見えていない部分も結構あるものです。当たり前のように受けていたものも、実は大変な思いをして提供されていたんだと知ったら、安易な不満は我慢できるだろう、感謝することもあるだろう、そんな思いで今回書かせて頂きました。