「それぞれの部署が努力して、成果を残す」というのは、聞こえのいい言葉です。
行政は縦割りで、必要だと思われるサービスを区分けして、与えられた部署で成果を出すようにとのことでしょう。ところが、最近求められるようになった行政サービスは、複雑化、多様化、個別化、可視化されることにより、従来の動き方ではままならなくなってきました。
縦割りの弊害は様々で、いろいろなところで指摘されていますが、それも良し悪しであることを意識しておく必要があるでしょう。
【良い所】
・法や規則などに則って運営されることが求められるため、公務員の個別格差や地域格差などのバラつきが抑えられ、対応の違いからの不平等感が生まれにくい。
・どの案件はどこが対応するか、窓口がはっきりしており、ニードの整理ができる。
・複雑な問題が起きた時、担当者がエンドレスで振り回されることがない。
【悪い所】
・複雑な案件になると、どの部署も該当なしとされ、誰かが交通整理しないと暗礁に乗り上げる。
・偏った価値観(部署の論理)で物事が達成できたとされることがある。
・範囲が限定的であることから、その部署独自の成果が見えにくいことがある。
・多忙な部署と、そうでない部署の労働格差がある。
・季節性の仕事が多い部署になると、繁忙期とそうでない時期の差が大きくなる。
・最後まで責任をもたない部署は、やらせた数が成果になるため、アドバルーンをあげることが仕事になる。
・末端それぞれの価値観で動くことになると、全体的にどのような方向付けがなされているか見えにくい。
また、どんな連携が効果的か決めにくくなる。
この問題は管理側と実働側だけの問題ではありません。実働チーム間にもあることで、児童生徒の指導で追われているのに、先に下校させた学年教員たちが教室でお喋りをしているところとか、もう首を締めあげたくなります。
質を求めるには、選手層の厚さとマンパワーの保証が必要です。絶対人数が増えなくても、労働力の格差を是正する努力が必要だと思います。また、頭数を揃えるだけでなく、互いに連携して物事が進むよう、詰め込み過ぎない仕事量にとどめることが大事だと思います。でないと、とにかく人が足りないだけでなく、人が育ちません。
せっかく質を高める能力があっても、負荷の高い仕事に追われていては、こなすことに追われて、周囲に目と手を配る機会が作れないでしょう。
新人育成、人材育成、これまでも取り組みたいと思ってきましたが、なかなかそこまで手がだせないでいます。ある程度キャリアを積んだら、アウトプットと後輩指導の芽がでてくるのですが、その芽を摘まれたくないと思いながら、日々を過ごしています。