ミャンマーやベトナム、フィリピンなどの外国から、技能実習生として日本の介護や製造などの業種で人材を集めていることは、みなさんご存じだと思います。コロナウィルスの猛威のため、来日が先送りになっていましたが、この頃、再び入国できるようになった感じです。
第二次世界大戦の前、かつて貧しかった日本も、今の技能実習生のように国策の後押しもあってアメリカやブラジルなどの国に、一旗あげようとでていきました。実は、私の祖母の兄弟もアメリカにわたっていて、今はその孫たちがユタ州に住んでいます。
【事業所】
外国から実習生がくると、事業所が彼らを受け入れて、ほぼ1か月の勉強期間の間に、介護の基本や日本文化などについて集中して学びます。そうして、約1か月に各地の働き先に別れていくのです。
今回、事業所のスタッフ(常勤)さんがコロナにかかり、実習生の見守りができないとのことで、白羽の矢がたって、私が指導することになりました。指導とは言っても、特別なことはなくて、自習する彼らの見守りや、外部からの支援者対応などが主です。
【日本について学ぶ】
私からは、カルタなどの日本文化が分かるもの、マンガ、観光ガイド、イラスト集、絵本、小学校の教科書(もらいもの)などをもっていきました。また、ドラえもんがよく食べている「どらやき」もお土産に追加していきました。学習時間、彼らはスマホで意味を検索しながら、熱心に本を読んでいきました。
彼らは、2年間のうちに日常会話レベルの日本語を学ぶことがノルマです。勿論、習得すべき日本語のテキストもあります。ただ、その日本語は生きた人とコミュニケーションをとるための日本語でもあります。パターンで覚えた挨拶や言いまわしは、練習すればすぐ身につくでしょう。実際、支援に来てくださった人に対して、「いらっしゃいませ」と言ってみようと提案すると、ハキハキとした声で「いらっしゃいませ」と伝えることができました。しかし、日本で働く時の会話って、ハイコンテクストな、忖度する、空気を読む高度なコミュニケーションが求められます。
そのためには…日本の語学習得と同じように、「繰り返し」と「経験」と「興味関心」と「ハマるツボ」が大事ではないかと思います。彼らは個々に本を手に取り、観光地、マンガのキャラクターなどをよく理解しようと熱、心に見ていました。この集中力と探求心が、言葉を理解していく手がかりをつくるのだと確信しました。
今回の学習時間について、枠は決まっていますが、「どこまで学ばせる」、「習熟度はどうか」などを問いませんでした。それぞれの自主性と、学ぶ力に任せたのですが、それぞれどんなことが分かったか、嬉しそうに話してくれました。まるで、昔の寺子屋やそろばん塾のような雰囲気です。この環境では、高度な技術や知識を得ることはできませんが、しれは個々に設定できる、もっとも自分に適した学習環境の中で学習するのが一番ではと思います。
そのことから、学校は集団で学びあう場で、意欲や態度を含めた基礎基本を身に付けるところと割り切ったほうが、みんな幸せに過ごせるかもしれないと感じました。