学校の文化 担任の先生より

715)特別支援学校 日本の教育を変える?

夏休みの間に、またいつか作ることもあるだろうと、コラージュの材料を作っていました。
図書館からもらってきたスポーツやファッション雑誌、それらから個性ある「モノや人」が写ったものを切り抜いていきます。もちろん、切り抜く作業からやったほうがいいのでしょうが、多様な子どもを集めて一つのことをやるには、みんなが目指すものをシンプルかつ明確にしないと成り立たないのです。

いくつかある雑誌の中で、気になる記事を見つけました。

ヴァンサンカンという雑誌で、2021年の2月号の中に「画一的な日本の教育を変えたい」という一文がありました。なんだろう?これは?気になってページを切り取り、一通り読んでみました。

そこには、株式会社キッズディベロッパー取締役の相馬れいこさん、という方が写真つきの記事ででていました。

「ヨーロッパでの育児経験を経て、子どもの個性が生かされない画一的な日本の教育を変えたい、子どもたちのためにっできる限りのことをしたいという使命感から、教育事業をスタートした相馬さん。脳科学の知見を取り入れた最先端の教育法を日本に普及すべく、現在は幼児教室や発達障害のある子どもを対象にした支援事業へと発展しています。(以下、略)とありました。

【共感したところ】
最近、学校を生活全般の学びの場だとして、あらゆるものを任せてしまう風潮が強いと感じていて、学校教育に依存しない教育、選択肢の拡大が図られることについて、好ましい状況だなと感じました。学校教育は予算と基準と標準法、学習指導要領によって枠組みや指導内容について制限されているところがあります。一方で、自由選択や何かに特化した学びの形があっていい、むしろそこを使い分けられたらもっといいと感じました。

【疑問に思ったところ】
まず、日本の教育が画一的だという点でひっかかりました。日本の学校教育は標準化され、あらゆる学齢期の子どもを総じて抱え込む形態をとっています。しかし、それは学校教育制度の中の学校を指しているのであって、日本の教育とは別のことだと思います。標準化しつつも、少しずつ新しいものを取り入れてきた日本の文化は寛容で多様性を含んだものだと考えています。

また、キッズディベロッパーの中にある、キッズアカデミーについて、HPでは年少~年長について、1日に1時間程度、週に2~3回程度の登校で、指導は主に個別マンツーマンだと記載されていました。ん?週のなかの短時間のかかわりで、あとの大部分の時間は、子どもは誰と、どこで、どのように過ごすのでしょう?

ある分野に特化し、時間は限定的だとすると、それは学校教育に成り代わる存在にはならず、「学びの選択肢」に過ぎないと考えました。なので、MISSIONとして提示されていた「私たちは教育の標準を変えます」は適切でなく、そもそも標準など作れるものなのだろうかと感じました。

【日本の教育への希望】
日本の学校教育と、このような学習の場を設定する会社とは、枠組みや運用の仕方について明らかな違いがあると思います。なので、互いに牽制や干渉するのではなく、共存したり、使い分けたりすることにならないかなと思っています。私も集団をまとめるために、時にその子にとって必要な観点や指導を置き去りにしてきた経緯があります。なので、このような会社などがでてくることで、日本の教育がより充実してくることを願ってやみません。