給食の形態をどうするか、検討と決定は担任の判断だけでできません。
給食の形態について、都道府県や学校ごとで種類は様々なのですが、普通食と形態食、経管栄養注入などのうち、離乳食のように柔らかくして食べられるものを形態食と呼んでいます。
【形態を変えるまで】
例えば、普通食を食べている児童生徒がいて、どうも食べるときに咀嚼ができなくなってくるので顎を動かすことに疲れてきているのではないか、うまく噛めていないといった場合、後期食を試してみたいと思うことがあります。
自分に権限があり、早急に対応したいと思ったら、直球勝負で調理員を束ねる栄養教諭(栄養士)に、「来週から、Aさんも後期食にしてください」と言えばいいと思うのですが、どんなに現状に課題があろうとも、そんなに簡単にいきません。
給食の形態は口の発達だけでなく、安全性や妥当性を明らかにすること、保護者の同意がセットになります。話を進めていくには、担任を含む学校側が現状の課題を把握して、検討や改善が必要と気づくこと、学校が呼んでいる、または医療機関の医師などに摂食の評価(アセスメント)をしてもらう、根拠と学校の給食に関するルールに照らして決定する、の順番になります。
これらのプロセスを経ていく間、保護者の合意や同意が適宜必要になります。よくあるケースは教員や担任サイドが保護者に遠慮して摂食指導を変えることをためらう、保護者や担任が子どもの実態よりも高いものを求めている、保護者が家族と同じものを食べさせたいという思いが強い、保護者が家庭で形態食を用意して欲しいといった外圧を受けることに拒否的、などがあり、スムーズに事が進まないことがよくあります。
それに対して、いろいろアプローチはあり、医学的(科学的)に子どもの摂食の現状を明らかにする、指導(形態の変更を含め)を変えることでどんなメリットがあるか伝える、摂食指導を保護者や担任に押し付けるのではなく周囲の支援も含めて進めることを約束する、などによって対応しますが、それでもうまくいかないことはあります。
【成長】
子どもが成長するにしたがって、骨格がしっかりしてくる、筋力がついてくる、筋力が弱くなる、気持ちが落ち着いてくる、食べ方が変わってくるなどの変化がみられることがあります。経験や知識を得ていくにしたがって、ある程度見立てはできるようになりますが、別の視点からも同じ答えがでるのか、見落としはないか、摂食指導に関する全責任を負えるのか、といったことを考えると、自分を過信せず、周囲を巻き込みながら物事をすすめたほうがいいと思います。