毎年、特別支援学校では校内研究が行われます。
キャリア教育、人権、自立活動、社会参加、事例検討などをテーマに、研究を取り扱う分掌に属する教員が中心となって発表の準備と、後で誰が見るか分からないような「研究のまとめ(例)」のような冊子を作って完結します。
リハの仕事をしていたときは、事例検討となると、どんな情報が網羅されているか、問題となる点について何が原因か、どんな工夫をして治療したか、などに関心があって真剣に見ていたものですが、学校では積極的に参加する場合と、やっつけ仕事のように済ませてしまうことがあります。そうして、どちらかというと後者のほうが多いと思われます。
【校内研究がつまらないのはなぜか】
・子どもの実態を的確に捉えていない事例を見ると、萎える。
・なぜ、その目標設定をしたのか、動機づけに具体性がなく、オチがつまらない。
・全校の研究テーマに沿うことが求められるため、視野が狭い内容になる。
・多くの仮説を検証した「泥臭いもがき」が見えず、観る側の観点が広がらない。
・研究のための特別な指導体制、教材準備になるため、日々の指導につながる話題提供になりにくい。
・児童生徒の実態を考えると教員が不足している、指導困難だといった、指導技術だけではどうしようもないことがある、という事実が明らかになっても改善されない。
挙げ始めたら、いろいろあるものです。
【それでも、意味があると思うのはなぜか】
教員畑でないところから来た自分にとって、校内研究は大きな意味がありました。
というのも、大勢の子どもを目の前にしてMT(メインティーチャー)をしている先生が、実は奥深いことを考えて授業していると分かったときは素直に感動しましたし、子どもウケすることばかり考えていると思っていた先生が本当に中身がないと気づかされたこともありました。
良くも悪くも、「自分ならどう考えるか」と課題意識をもつことで、指導力はおのずと高まると思います。
特に、元医療職が学校の研究にかかわるときは、子どもの実態や指導方法の意味を奥深く評価して言語化すること、研究のまとめを掘り下げて述べることで、十分価値のある内容になります。
意外と、指導方法や教材のうんちくは、その場限りになったり、「あの先生だからできるんだよ」となることが多いと思います。