担任の先生より

751)特別支援学校 探索するデメリット

発達段階をみながら、伸びてきたなぁと実感することがあるのですが、必ずしも喜ばしいことばかりではありません。能動的というか、主体性が増してくることによってネガティブなところが際だつことがあるのです。

はじめ、その子は何が好きかわかりにくく、目についたところや物に、ふらふらーっと場当たり的に引き寄せられる、他者の存在をあまり意識していなくて、言われたことに対してスイッチがはいったように応じるという感じでした。

【成長】
ところが、半年たって、本を読んでくれ、手をつないでくれと要求が多くなり、言われたことに応じる(協力動作を含め)、キーパーソンについていくなどが見られ、日常生活や学校生活における支援の量や質に変化が見られるようになりました。

対話的にかかわることで、新しいことが学べ、自分のし好にあったものを次々と発見していくことができます。

一人遊びもいくつか確立して、常時大人が対応しなくても過ごせるようになりました。

【困ったこと】
大人は何をしているんだろう?
この先には何があるんだろう?

そんなふうに考える力がつき、直接目に見えていないものを探る力がつきました。

教室のカーテンをあけ、箱をあけ、そこに入っていたものを取り出すようになったのです。

これによって、教室のレイアウトを大幅に変更する必要がでてきました。

まず、手にとどく範囲に危険なもの、壊れやすいものは置けなくなりました。

これまで、見えなければ触らないだろう、触っていいものは見えるところに、ひとまとめにしておけばよいと思っていたのです。

物をやみくもに出す、口にいれて確かめるなどについて、多くは幼児の頃に通るものと思います。背は小さいし、力もそうでない、口も小さいということで、身体能力を見て、その範囲だけ注意していれば、とりあえず安全への配慮も含めた住環境が確保できたと思うんです。

ところが、今その子は小学部高学年~中学部のあたりです。背は伸び、力もあり、大人がやっていることを見て再現する能力がかなり備わっているとすれば、うかつに物を置くことができません。

【対応】
触るなと言っても触りたい、他にも面白いものがないか触りたい、そんな子どもが教室の中のものを出して、ちらかして、片づけない、がずっと繰り返されたら非常に困ります。

これについて、いろいろと試しました。例えば、触っていい物の置き場を決める、探索しなくても満足して遊べるものをあらかじめ準備する、触っていいもののエリアを決める、危ないものや触って欲しくないものは簡単に開かない扉の中にいれる、歩き回らない時間(座っている)を設定する、などです。

【いいじゃないか】
ちらかすのも学習、そう言ってしまえばですが、学級経営をする立場上、そこは安易に容認できません。

・触っていいものといけないものの区別
・授業開始時間を守る(ちらかしたものを片づける時間)
・公共の場(教室)をきれいに使う習慣
・物を落としたり踏んだりせず、大事に扱う
・ちらかしたものを踏んだりしてケガをするのはマズい

といった、訓練ではなく、生活の場だからこそいい加減にできない建前や指導の観点があるのです。