自分が使う教室をつくるとき、単純に「構造化は大事」、「視覚刺激を減らす」のようなテクニカルな観点だけで動くと、ねらいに沿った指導につながりにくいと思っています。
ただ、前年度から新年度への移行を子どもたちは経験するので、一目見ただけでは分からない配置と運用は避けた方が良いと思います。
前年度の教室の特徴(どのように運用していたか)をふまえ、何を残し、何を捨てるか考えないと、新年度の指導が「去年と同じ」に縛られて、何のために新しい担任(新しい出会い)になったのか分かりません。
前年度の指導から引き継ぎをふまえつつ、自分はどんな指導に力を入れたいか、何を重視したいか、自分の能力や適性をどう生かすか、を考えて教室を作ります。
・前年度が無難な形であれば、まずは踏襲して、少しずつ色をつけていけば良いでしょう。
・前年度が濃過ぎる(際立ったサイバールームや、何かの体験コーナーのような環境)場合は、無難な形にして、色を付けなおす。
・前年度から新年度ももち上がる場合は、場所が変わってもできるか、期待した力がつくか試す場にすればい
いと思います。
子どもも、教員も使いやすい、分かりやすい、学習に取り組みやすい環境を意識すると、構造化された環境ができあがります。いずれは守られた地域社会から外に出ていくかもしれない子どもたちなので、構造化ありきだと、程よく「環境適応」を促す機会が損なわれます。
【レイアウト】
子どもの居場所(座るところ)はどこか
一日を通して個々の子どもが行う活動は何か
個々の子どもの守備範囲はどこか
何はしていいが、何はしていけないか
教員の位置はどこか(複数可)
教員が授業ごとに、どこで、どれくらいの教材を準備するか
どんな流れで学級の児童生徒は一日を過ごすか(導線)
上記の視点をふまえて、子どもの実態が分かれば分かるほど、具体的なレイアウトが描けます。
子どもの机をどこに置き、向きはどうするか
子どもの荷物はどこに置くか
子どもに向かせたい(注意を向けさせる)ところはどこか
これらも教室を作るときに留意する観点だと思います。
【侵入禁止エリアのつくりかた】
伝えるだけで大丈夫なら、「ここは、触りません」、「ここ、入りません」で終わります。
しかし、そこがうまくいかないなら
テープを床にはる
パーテーション(ついたて)で区切る
カーテンや目隠しをする
ハンガーかけや常設の机を置く
棚やプラスチック板などで仕切る
などで対応します。
区切ってあるから行かない場合と、見えなければ行かない、などの違いもあるので、それをふまえて一番簡素で効果的な手段を選択します。なぜなら、子どもたちにとって侵入禁止でも、教員が日常的に使うなら簡素なほうがいいですし、出入りが頻繁だと、子どもが見て興味をもったり、出入りの仕方を学習してしまったりするかもしれません。
世の中には、行ってはいけない場所、行ってはいけないタイミングがあります。
それを、教室の環境に適応することを通して、子どもに教えていくのです。