医師・介護・看護 学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

805)特別支援学校 学校の人材育成にはミドルリーダー

最近のネット上の記事で、初任等の育成について、「学校の人材育成にはミドルリーダー」という記事をみました。

やり方としてはもっともだと思います。ただ、そこには難しい点がいくつかあることを念頭におきたいです。まず、学校ではどうかを考える前に、医療技術者だった頃の人材育成はどうだったか思い出しています。

【臨床にいた頃】
医療機関では、そこに属するスタッフとして、という観点でいくつかの研修はありました。しかしそれは組織に属するまでの通過儀礼のようなもので、入ってしまえば各診療科内で教育や研修が行われました。

診療科は、ある意味独立した組織みたいなもので、自分たちの業務をすすめながら、その中でできる範囲の研修やアドバイス等を行って、最終的に一緒に仕事がそれなりにできる人になればよし、みたいなところがありました。

日々行われる仕事に直面するたびに、「これはこうする」と確認し、できることは少しずつ任せ、責任や知識・技術を要するところは概要を教えるだけといった感じで、身の丈にあったタスクをくっつけていく感じでした。これらは、医療機関や診療科の規模やカラーで微妙に異なると思います。

【学校って】
学校では、所属する学校運営に関するもの、授業など子どもの指導に関するもの、保護者や地域への対応、学校間の運営に関するもの、など大枠でいくつもの分野を抱えています。

医療機関での仕事も、大なり小なり似たものをもっているから、この違いをどう表現するかと思ったのですが

①医療機関の人が行う地域貢献は職場以外の、資格などに関する個人で加入する団体の仕事だったり、あくまで個人的に行う活動の範疇なので、「組織の職務として強制されるものでない」のが大きいと思います。

②多少の配慮はあるかもしれませんが、20年経験者であろうが、2年目だろうが、頭数に応じて均等に仕事が割り振られていきます。これは、仕事の分担を決定するところがセクションでなく、管理職などが「仕事を割り振って、それによって人材を育成させる」ことになり、見方にもよりますが、責任は乗っかるけれども、どのように進めるか寄り添ってアドバイスする人をつけない形になります。 かといって、個人の裁量でどんどんやっていい訳でなく、組織的に決定している枠組みの中で、足並みをそろえ

て、手順に沿って、相談しながら、進めていかないと達成できないことばかりなので、個の能力を高めてバリバリ仕事をしたい人には不向きな現場だと思います。逆に、言われたことをやっているほうが気が楽という方には向いていると思います。

③医療機関は診療科ごとの仕事をしっかりやっていれば、それが病院への貢献になりますが、学校は学級や学年の仕事をするのは「当たり前の仕事」であって、組織として医事(会計など)、総合受付、防災(守衛さん)、用務、清掃、配膳などの仕事も背負うようにできています。マルチで忙しいけれど本業に集中できない、という学校に関するネットニュースで見られるものは、こういった仕事や研修の割り振り方が「専門職のようで組織重視」「組織の縛りはあるけれど、専門職のようであれ」という複雑さと自己矛盾が原因だと思います。

これらのことから、ミドルリーダーを異動者や初任などの先生の指導役に、というのは医療機関などの割と職域がはっきりしていて、構成員が同じ仕事をもっているところなら臨機応変で手厚い助言・指導が可能ですが、個々に多様で過剰なタスクを抱えているところだと、身動きがとりにくく、話を聞かないと進まない仕事が増えることになるので、一見よさそう見えて、実はすごく非効率になります。