担任の先生より

876)特別支援学校 年度末が近くなってきました

2月になりました。

「2月は逃(2)げる」と言われているように、おそらくあっという間に過ぎてしまうんだろうと思います。

年度末が近くなり、締めと年度始めの仕事が積もってきています。

【成績など】
個別指導計画や支援計画などの評価と、次年度の始めに提出する書類(個別指導計画等も含めて)の準備に入っています。

学校で作成されるこれらの書類について、負担が大きい、時間がかかるなど、「働き方改革」のやり玉に挙げられるのですが、そもそも誰に関するものか、誰に出すものか、書類のとりまとめの部署などがそれぞれ違うので、「どれも大事」と言われるでしょう。

「同じような書類をいくつも出すのだから、ひとまとめにしたらいい」と言われますが、では、誰がそれを一手に担って編集するか、そこが縦割り行政と、地域や保護者に開かれた学校づくりの難しいところだと思います。

さて、書類についてですが、今年どうだったか振り返ることからはじめます。多くは目標があり、計画があり、どうだったか(評価)があるので、それぞれの項目を埋めていくことになります。

慣れないうちは、目標に挙げた項目について、達成できたかなぁ?取り組めたかなぁ?どんな変化があったんだろう?と考えるのですが、それをすると視野が狭くなりますし、下手をするとこじつけや作話(つくり話)、間違った解釈を書類に盛り込んでしまうことがあります。その結果、誤解や困惑をうんでしまうことがあるのです。

【思い出して、言語化する】
授業をしている間は、「何を教えるか」「どこを強調するか」「子どもの状態はどうか」、ばかり考えていますので、指導目標に対して取り組めたか、などに注意を向けているヒマはないと思います。

授業や学校生活支援は、たいてい思い通りには進みません。

それでもし、場を設定し、何かを投げて、何かを受け取っている訳ですから、そこで見られたものを言語化し、できたところまでを評価として表現すれば、ツボをおさえた評価になると思います。

例えば、「みかん」のカードを提示し、ホワイトボードの所定の場所に貼るように伝えたとします。子どもがカードを手にとったまでは良かったのですが、それを床に投げ捨ててしまったとします。

これについて、指導目標が「教員からの働きかけに応じて、カードを所定の場所に貼ることができる」だとすれば、「言うことを聞かないで拒否した、課題を放棄した」と思うかもしれません。しかし、そこはぐっとこらえて、意味や理由や対応策を考えてみます。

①カードに書(描)かれたものがキライ。
②何を求められているのか分からない。
③カードの貼る面と、貼りにいく先との接点が分からない。
④今、その気分じゃない。
などです

これを受けて、他の絵柄のついたカードにしたら反応が変わるかな、マッチング課題として環境を変えたら分かりやすくなるかな、見本をみせて課題の進め方を繰り返し提示したら分かるかな、などの対策が見えてきます。

ここまでの経過を文章にすると、まず教員が提示したカードを手にとることができた。(その後投げたとしても)

次に、絵柄を変えてみることで、内容を見て好ましいものと判断できたといえるかもしれません。
カードの持ち方と貼り方を一緒にやることで、動作上の手続きが把握できるかもしれません。
気分を少し盛り上げてみると、ノッてくるかもしれません。

これらを足して、「教員が提示したカードを手にとり、言葉掛けの支援を受けながら、ボードに貼ることができた」という条件つきの「できた」を表記することができます。

【教員にすべての責任があるとは思えない理由】
以前は(今もそうかもしれませんが)、教員が児童生徒の行動をみて、「やる気がない」と評価したことを批判的に捉え、「やる気がでるように教材や指導の工夫をしない教員が悪い」と言われていたことを思い出します。

教員の指導が指導目標や児童生徒の実態に合っていなかったというのは、よくあることです。(一目で見れば、ピタリと当たる指導ができる人は、どれほどいるんだろう?)

児童生徒とかかわっているうちに分かってくる、同じような内容を少しずつ変えて合わせていくうちにピタっとハマることも、よくあることです。

【科学的な視点をもって評価するには】
子どものニーズは多種多様です。

聞くこと、見ること、経験したことを生かすこと、手を使うこと、概念形成、注意を向けること、触って分かること、何をする時間か把握すること、見通しをもつこと、刺激に対して反応すること、そうして気分や体調、個人的価値観、家庭環境なども影響します。

偏見や一方的な記載が少ない書類を作成するには、見聞したものを様々な観点で評価できる知識・技能が必要になります。

物の見方や考え方ひとつで、視点や表現が大きく変わってきます。少ない観点で勝負(指導の評価)することが行き詰まりやすく、とても苦しいと思います。

だから、先生には勉強する時間や、他の先生と指導について話す、他職種の人と話をすることが大事だと思うのです。研修などで学ぶのも一つですが、まずは身近な児童生徒のことをよく知る、そして意図してかかわる、これを繰り返すことが大事です。