先回の「面談でよくある要望」で、指導として困難なことを求められたときのことについて書きました。そのなかで、「お断りするにしても、やってみなければ分からないから」という話になったときのことも思い出して書いてみようと思いました。
保護者の声や要望について、明らかに無茶だと思っても、「とにかくやりましたよ、それでも難しいことなんですよ」と答えるために、やってみてお返事することがあります。
このときの流れとして
面談や連絡帳経由で要望を聞く ⇒ いつから、どんな頻度で、どんな状況のときに、何を行うか決める ⇒保護者に説明する ⇒やってみてどうだったか、経過はどんなだったか確認する ⇒ 保護者に説明する
みたいな感じだと思います。実施する前に学年会などで「単独で行っている訳でないという確認」、「担任不在でも実施する体制の確認」、「どんな情報を集めて、それによってその後どうするか」などについて話し合い、論陣をはるために専門家や同様のケースに遭遇した教員からの情報収集をすることもあります。
保護者に対して、希望通り指導目標を立てて学校で取り組むか、条件をつけて実施するか、段階づけなどの配慮をするなら実施できるか、(実態に合わない内容を指導するときの)リスクや課題について説明するときに、同僚の教員や専門家などの後ろ盾をつけることがあります。このときに、やっておくべきと思っているのは、落としどころをどうしたいか話しておくこと、リスクについて担任自らがいいにくいこと(言ってはいけないこと)を、他者に代弁してもらうことです。
【できた・できますね】
多くの指導方法について、100%悪い!というものは、ほとんどないと思います。見方を変えれば、「ここにアプローチしていたけれど意味ないかな。でも、他のこの点についてメリットがありそうだから、やる価値がない訳じゃないよね。」、「あぁ、思ったよりできた、できますね」みたいなことが言う訳です。
それを保護者説明で言われたら…。
大きなリスクを背負っている、特別な技術がないとできない、他の児童生徒の指導に手がまわらないから止めたい、なんて事情が吹き飛んでしまい、「その子のために、できることをやってあげましょうよ」みたいなことになる可能性があります。また、そんな雰囲気のなかで「いや、それでもハイリスクだから、学校で継続的にやるのは問題だ」なんて正論をブチ上げたら、どうなるでしょう。
「保護者の思いを否定した」、「その子のためなのに、やらない」みたいなイヤ~な雰囲気になることも。こうなったらイやだなと、黙って従う先生もいますが、やっぱり「学校としてできること」、「能力やキャパの範囲を考慮すること」を無視してはいけないと思います。
決定した経緯はともかく、実施責任はやった教員に降ってきますので、改めてネガティブなリスクの確認、いつまでやるか、どうなったら止めるか、後に想定しなかったことが起きたら再検討する、は確認しておきたいものです。