担任の先生より

890)特別支援学校 ルーティンから脱したら、かえって大変なことに

ルーティンから脱したあと

①ピンポイントで言われたことができるようになる。

②ピンポイントが複数つながり、「これしたら、続にこれをする」とつながるようになる。(1から2)

③1つ言われたら、一連の準備ができるようになる。

③は、「給食の準備」というキーワードを聞いたらエプロンを出して着て、おしぼりを準備して、自分の食器を出して机上に置く、みたいなことです。

これらはルーティンやパターンに沿った行動になるのですが、その先がちょっと大変です。大人からの言葉や情報伝達で動いていたものが、次第に自分で手がかりを見つけて動いたり、自分でやっていることを他の場所でも使えるか試すようになったりして、いわゆる自主性や主体性を発揮するようになります。

この自主性や主体性は、児童生徒が置かれた環境のなかで、許されていること、または集団生活の中で許されていることであれば理解が広がると期待するのですが、社会性のフィルターがかからないまま、思いつきで次々と発揮されると、非情に困ったことになります。

【困ったこと】
・箱から〇〇を出す ⇒ 他にも何か入っているかな、いつも大人が開けている箱を開けてみたい、次々と出す・階段が登れるようになる ⇒ ベランダの柵を乗り越える、エアコンの室外機に登る

・食べる ⇒ これも食べてみよう(異食)

児童生徒が、教員からの指示がでるまでは、どうしたらいいか分からないので、じっと座っているようなら、学級経営をするとき経時的に準備して、言葉をかけて、一緒に行動する流れが作りやすいです。(ひとつずつ、丁寧に進めることができ、段取りしやすい)

しかし、個々に考え、試行錯誤して、興味関心を外側に広げていくようになると、成長と喜ばしいことだと理解しつつも、活動的に、安全管理的にリスクがどんどん大きくなっていきます。更に、物を出しまくって教室が荒れていくと、転倒や接触事故、誤飲、物品の紛失や混同などのリスクが増大するので、教員の負担感はうなぎのぼりです。

ちょうど、目が離せない2歳児をリビングでみている保護者の心境でしょうか…。更に、その子が部屋の中に3~6人いて、更に身体能力は小学生から高校生の年齢なみに発達している感じです。もひとつ加えると、「無茶をしたら痛い思いをするので、それまで好きなようにやらせてみよう」が通用しません。

【どうするか】
学級経営が困難になる一因として、子どもが成長して活動できるようになった、それがコントロールできずに学習集団としてまとめきれなくなる、があります。

そんなとき、どうすればいいのでしょう?いくつかやってきたことがあるので、お手上げにならずに一つずつ試してみたらどうでしょう。

①一人課題の設定:余暇的時間にも取り組める、1人課題を設定します。パズルや本、カードなど、1人で使えて、工夫次第で世界が広がるものが便利です。

②範囲を決める:触っていけない物品を排除して、触っていいものだけ置かれた空間を作ります。その中なら、自由に活動できることを保証すれば、メリハリのある時間の使い方が提案できます。

③並んで座るよう設定する:壁際に並んで座る、机を並べるなど、児童生徒の動きが見えるような配置にします。また、移動方向を限定することで、無駄に追いかけ回すことを少なくします。

④規則性のある物や棚の置き方をする:よく構造化といって、無駄な刺激を少なくしましょう、導線を分かりやすくしましょうと言われますが、出したら片づけることを促す意味でも、何がどこにある(あった)が分かりやすいことはメリットです。写真やカードで、何をおく場所か確認しやすくする場合もあります。

⑤順番:よく叩いたり、かかわり合いが多くて脱線することが多いとき、極力当事者二人を離したり、間に人を入れたりします。順番が分かる子を最初や最後、要所に配置して、スムーズに集合したり、並んだりできるようにします。

考え方はいろいろで、賛否両論あるでしょうが、見栄えのいい指導にこだわったり、内容をよく考えずに言うことだけを聞かせようとしていた先生は、グループをまとめきれずにバタバタすることが比較的多かったように思います。人員には限りがあり、時間や場所の制限が多いなか活動するので、それなりの対策をしないとうまくいきません。