年度末です。あと半月もすれば新規採用者、異動者が新しい学校に足を踏み入れることになろうかと思います。私も次年度はどこで仕事をしているか、まだ見通しがたっていません。
学校の中に入ると、教員はすべて担任の先生(正担)だけでなく、副担や教務主任、栄養教諭などが存在しますが、担任になると新天地で時間割の中にあるどの授業を、誰が担当していくか割り振りが行われます。
いろいろな学校のHPや学校要覧を見ると、各学部、学年ごとに違った配分で授業が配置されていると思います。例えば、朝の運動、朝の読書、国語、算数、数学、体育、自立活動、音楽、図工、美術、生活単元学習(略して、生単)、作業学習などがあります。さて、どれを担当することになるのでしょう?
ブログを書きながら、どれも簡単ではなく、つきつめ始めたら奥深い授業ばかりだと思いますが、それぞれの授業に特性があり、その学校に入りたての人にとって、やりやすいものと、やりにくいものがあるかもしれないと考えていました。すごく主観的ですが、やってみたいと思います。
【授業を分類する】
授業を分類するにあたって、どんな分類の観点があるか考えてみました。
1、人数
2、能力別の有無
3、学習環境の安定性
4、内容の繰り返しや継続性の有無
あまり細かくすると、分かりにくくなるので、このへんで止めておくことにしました。
【人数】
多いというのは、学年全体、低学年や高学年、全校児童生徒で、少ないのは個別、学級、グループ学習だと思います。規模が大きいと、全体のバランスや、どこに手を入れて、どこは子どもに任せればいいか判断する必要がでてきます。そうなると、明らかに新規メンバーよりも前年度以前を知っている教員のほうが有利です。
多いについて、全体に特化した指導をつくるに必要な情報を仕入れてしまえば、あとは指導の質や量、内容について公約数をとって、落ちこぼれと拭きこぼしを教員の支援込みで少なくすれば、なんとかなると思います。子どもの特性やリスクの理解だけでなく、いろいろな子どものニーズを満たすために配置する教員の力量や得意・不得意も加味しないと、授業運営と集団の掌握は難しいと思います。
多いに属する授業は、体育、生活単元、音楽、作業学習、図工、美術あたりでしょうか。
少ないについて、学級やグループで行われる授業ですので、より個に応じた内容を準備する必要があります。子どもが在校生だとしたら、前年度まではどんなことをしたか試してみて、どんなことに焦点をあてて学習するか、難易度や学習段階はどれくらいか、どんな流れで授業をするか、お互いに慣れながら作っていけば良いと思います。同じことを繰り返すだけでも価値はありますが、着実につみあげたいとするならば、子どもの評価(アセスメント)する力量と、どんな学習の方向性にも対応できる経験値が必要になってくるので、そこは何年たってもしんどいところです。
【能力別の有無】
能力別の学習が行われるのは、国語、算数、数学、体育(球技や水泳などで行われがち)だと思います。割り当てられた空間と教材、人員を使って、できることをやりましょう、からスタートするので、新規の教員も、既存の教員も、意見や情報を出し合って作ることができる授業なので、教員同士で学びあうことが一番やりやすいのがこれかなと思います。(ただ、意見が合わない、強権的な教員、とペアになったら地獄です)
【学習環境の安定性】
いつも同じ教室で始まって、同じ教室で授業をして終わるなら、教材の出し入れや子どもの教室移動がないので安定的に実施できますが、能力別の学習グループを作ると教室の移動、教材の運搬、安全管理の課題がでてくるので授業そのものより、授業の始めと終わりにバタバタします(私はこれが嫌いです)。
体育は、いつも同じ広い場所を確保できる訳ではなく、他学部や学年などと交代(またはローテーション)で教室または特別教室(体育館など)を使いますし、晴れと雨で内容を変えなければならないことも想定できるので、集団の特性と、各教室でできること、各教室で利用できる物品を把握しないと運営は難しいと思います。
【内容の繰り返しや継続性の有無】
国語や算数、数学などは、繰り返しがきく授業だと思います。たしざんをしているなら、先回と数字を変えてもう一度、なんてことがありますし、基本は変えずにプリント課題から、具体物の操作も併せてやってみるなど、継続性と段階的な学習の広がりが保証できる授業だと思います。
体育は単元が終わるまでは同じような内容の継続になります。
ただ、生活単元は行事の事前学習1回だけ、節分は3回だけなど、教育課程や季節の移り変わりに合わせてコロコロ内容が変わるので、教員にとっても内容を子どもに合わせることに苦慮し、単発が多いが故に積み重ねがききにくい授業といえます。
更に、行事の事前学習などと言われても、前年度にその学校にいなかったら分からない!となりがちです。MT(授業をすすめる先生)がその行事を知らず、聞いている子どもと教員が経験者とか、いかにも変な話です。
【生活単元は新規や異動の先生向きか】
ここまで読めば、もうお分かりかと思います。私見ですが、生活単元学習は新規や異動してきた先生向きではありません。
前年以前の経験則が必要なこと、授業の場所が一定しないこと、テーマが頻繁に変わること、一年を通してずっとあること、大きめの集団をいきなり相手に授業をつくらなければならないことをふまえると、それを学校または学部の事情を知らない人に丸投げするのは感心しません。
ただ、在籍する学年のこと、学校の流れを把握するのにいい機会と考えていて、常に誰かと(複数で)担当しながら授業を作り、進めるならば、生活単元の授業担当は〇だと思います。