よく、知的障害教育部門では屋外歩行を実施することがあります。授業2コマ分より少し短い時間に、行って帰ってくることができる範囲で目標やルートを考えます。
出発前に、体調不良の子がいれば保健室残留か、教員がついて教室で待機になります。
移動は、修学旅行などを加味すると学年全員で行くのが理想かもしれませんが、実際は体力差があって、歩く速さ、安全に移動できるか、他害などの相性の悪さがないか、移動先で休憩するスペース(人数分)が確保できるかといったことを加味すると、2つくらいにチームを分けます。
【学校をでるまでにすること】
出欠なども含めて、何人の子どもがいて、何人の教員が引率に入るか確認します。子どもの数が分かれば、あとは面子をみて、大人が誰につかねばならないか、誰と誰を並べればうまくつながるか、などを考えて、先頭から末尾までの順番を考えます。
子どもの実態が分かり、その場で表情などを見ながら並べることができるなら、当日の出発前に決めてしまうのもアリです。しかし、いろいろ配慮することがあったりするなら、あらかじめ順番を決めて、その通りに順番に並べるほうが手堅いと思います。
【学校を出てから】
転倒や脱線などがないよう目と手を配りつつ、基本的に1チームひとかたまりで移動します。先頭は行先の道路事情をみながら、スピードは適切か、後方で靴が脱げるなどのアクシデントなどがあったら止まる、などの配慮が必要なので、リーダーの先生が先頭にたちます。
更に、リーダーの先生も、手をつなぐことが必要な児童生徒の引率を行うことがあります。1チーム10人の子どもがいて、リーダー含めて4人しか教員がいない場合、要所要所をおさえないと安全が確保できない場合があるのです。(かといって、タスクを抱えすぎると非常事態に身動きがとれなくなるので、無理はしない)
移動中は子どもの体調、交通ルール、他の自転車や歩行者への配慮、子どもの衝動的な動きへの配慮を常時意識しながら移動しますが、疲労感がでてくると、指示が入りにくい、歩行の速度が遅くなる、感情に乱れがでやすくなる、といった課題がでてきます。
【もう歩けないよーの対応】
歩行中にしゃがみこんで、動かなくなることがあります。疾患等の発症の場合は、それ相応の対応をしなければなりませんが、理由が気が乗らない、疲れた、といった場合はそれに応じた対応をします。
一番てっとりばやいのは、「言葉をかける」です。励ましでもいいですし、給食が待っているでもいいし、とにかく歩くことや、行きつく先にあるポジティブなことを目指せればOKです。
あとは、身体的な負担を減らすということで、リュックをもってあげる、衣服を1枚脱ぐ、手をつなぐ、少し進行方向に向けてひっぱってあげる、2人がかりで脇を支えつつ歩く、もやったことがあります。ゴール(学校)への距離がそれほどでもなければ、車椅子を借りてくる、もやったことがあります。
あと、歩けるけれど、ちょっと限界近いかなと思ったときにやったのが、後方介助歩行です。歩行は左右の重心移動と曲げ伸ばしの連続です。それで疲れるならば、子どもの膝はほぼ伸ばしたままで良く、若干後方に重をかけさせてつっぱれば良しとしてみます。後方からのハンドリングで自動運動的な歩行にして負担感を少なくしようという考え方方針です。支援する方の体力も消耗しますが、集団の流れを停滞させず、歩道に取り残されてしまうこともないので、ここはなりふり構っていられません。
歩行練習は肢体不自由の学部で必要なプログラムで、知的の部門の子は歩けるから必要ないという雰囲気がありますが、いやいや、わりと活用できるものと思っています。