学校の文化 担任の先生より

908)特別支援学校 スクールバス減便

名古屋市の特別支援学校にある特別支援学校のスクールバス運用について、同校が保護者らに説明がないまま、一方的にバス停の削減を決めていたとのこと。

「従来三つだったバスルートを高等部について2ルートに統合、関係するバス停を15から8に減らす決定をして、3月14日に保護者に通知した。」これに対して、削減されたバス停を利用していた生徒宅のなかには、新しいバス停が遠くて、保護者が学校まで送らざるを得なかったり、交通手段を確保できずに困る家庭が生じたりした。

「これに対して、市教委は同校に「バスコースの見直しも含め、希望者が乗れるように」と指導・その結果、バス停が廃止されていない小中学校のバスに高等部生徒も乗れるよう対応を変えたという。」

【対応の結果】
市教委の担当者は「保護者へ相談して納得の上で判断すべきで、配慮が不十分だった」として、校長は「遠くなっても通えると判断した。保護者に負担を強いる判断をしてしまい反省したい」とコメントを出していました。

【課題は何だったか】
記事では、複数のバスを出していて、小学部から高等部まで区別なくバスに乗せていたが、学校の降車スペースが狭く、複数のバスが滞留していたとのこと。

滞留すると、地域の道路を塞いだりして迷惑がかかる、バスの中にいて待てない子が落ち着かなくなったり、トイレがガマンできなくなったりする、教員のお迎えに多大な時間がかかり、指示されている授業開始時間が守れず、手薄な指導体制のために円滑に授業が始められない、などの問題があったのではと推測します。到着時間が分散すれば、各学部の教員も、いつ降りるか分からない状態で漫然と待つことも少なくなります。

そこで、高等部の生徒について、多少のガマンをしてもらい、バス1台あたりの人数を調整して、学校のバスの停車場で滞留が生じず、かつ全員が乗れるような枠組み工夫したと思われます。この「高等部の生徒」を対象にしたのは、小中学部の児童生徒は義務教育段階なので、通学できる体制を保証しなければならず、高等部は義務教育でなく、スクールバスはあくまで一人通学ができるまでの経過措置として、ある意味「配慮と好意」で成り立っているところが前提にあったから、だと思われます。

【時間調整】
バスの台数を減らさず、早く到着するバスと、遅めに到着するバスをつくるには、どうすればいいでしょうか。

到着待機をなくすことを前提に考えると、この特別支援学校が行ったように、「時差」をつくるが正解だと思います。(ただ、その内容と手続きがマズかっただけのこと)

時差をつくるには、発着時間を意図的にずらせばいいと思います。ABCのバスはそのままで、DEの巣出発時間を早くするか、遅くすればいいのですが、早くすればトラブル時に学校が対応できない(勤務時間前の出来事にどこまで関与するか)、遅くすれば保護者が仕事に行きたいのに、足止めを食って出られないじゃないかというクレームにつながる可能性があります。

そうなると、でる時間をあまり変えず、到着にタイムラグをつくればいいのです(子どもの乗車時間は長くなるが、結局大人の都合か…)。ルートと経由するバス停や座席を見直して、時間調整します。

【学校だけの責任か】
そもそも、学校だけの問題で、市教委の指導を受けないといけないような無能なのか?と思われるかもしれませんが、そもそもスクールバスも税金を使って運行するため、事前にコースやバス停、乗車する子どもの数などは市教委か都道府県の教育委員会に報告して、許諾を得ているはずです。そのため、教育委員会とすれば「内容は承認していたけれど、保護者全体の理解や合意を得ていなかったのか…仕方ないなぁ」ということで、指導という形をとったのかなと思います。

それでも、高等部の生徒をカットせず、義務教育の児童生徒と同様にバスに乗れるように配慮してきた学校の努力を認めるべきと思います。そもそも、バスを停める敷地が足りなかったので始まったことですし。

学校は公のもので、枠内で、平等に、などの配慮をしながら運営されますが、「うちの家の前にバス停をつくれ」、「出勤時間に間に合うように、何時ごろにバス停にくるようにしてくれ」、「朝起きられないから、早くされると困る」といった個人的な事情に翻弄されていることも事実です。学校教育に関するニュースがいろいろでていますが、それぞれの立場などもふまえて読み取って頂けたらなと思います。