学校の文化 担任の先生より

920)特別支援学校 二人のニューカマー

異動してきた先生も、新規採用の先生も、この学校に初めてきたのに変わりありません。今回、二人の先生(新規採用でほぼ新卒と、他校で6年の経験あり)を比べてみたいと思います。

【新規採用の先生】
まだ出勤してきて日が浅いので、まだ、何があるのか見えていないようです。言われた研修や説明を聞いて、それに合わせることができています。この適応力というか、要点をとらえて実行する力はすごいと思います。

人間関係も、そつなくこなしそうで、不安そうな顔を見せません。本当に不安はないのか、それとも見せないだけで、頭のなかでは暗いものが渦巻いているのか、不明です。

周囲の対応ですが、ここ年々、決まったことを指摘されないように実施する傾向が強く、必要以上に忙しくなっている気がします。そのせいか、新規採用の先生に仕事以外でからむ先生はほとんどいません。それが緊張を和らげるか、余計なおせっかいか、これも人ごとに反応が違うと思うのですが、本音はどうなのでしょう?

とにかく、仕事が始まったらタスクが積み重なってくるので、何もない時からやみくもに吸収しようとすると、疲弊してきます(私はその傾向があるので、気を付けています)。なので、今は余計なことを考えずに、こなすべきことをこなして、あとは休むか落ち着くかするのが正解だと思っています。

今の実力や個性、強みと弱さは、これから仕事をすすめていくなかで、だんだん見えてくるものと思います。

【異動してきた先生】
初めての環境で、どこに何があるかは新規採用の先生と同様変わりません。しかし、学校にはどんな物があり、どのように運用されているかは知っています。その経験則を、この学校ではどう運用しているのかあてはめ直すだけだと思うのですが、実はそんなに甘くありません。

実は、前任校で見てきたものは、学校の仕事のほんの一部であって、実はあまり分かっていなかったとか、一緒に組んでいた先生がすごく動く人で、やるべき経験が積めていなかったという場合があります。

新しい学校で課された役割や部署が未経験のところだと、経験したことが役に立つことが少なく、ほとんど新規学び直しということもあります。

それでも、「これをやったら、こうなるかも」みたいな怖さやリスクを知っているだけに、積極的に出られない、まだ慣れないところで組織的対応が必要だという局面にぶちあたる、みたいな停滞感がおそってきます。

どんな経験をしてきたとしても、「経験者」というラベリングがされるので、過剰な期待やタスクが年度当初から課されがちな気がします。

教員が医療職のような専門家の世界で働くなら、専門職としての力量をいかにはめるかが大事ですが、ここは専門家でなく、多様な役割と人材で組み立てられた組織です。経験年数が短めだと、使えるものはそれほど多くありません。それを考えると、新規採用と異動してきた教員のどちらが大変かと言われたら、異動者のほうがしんどいのかもしれません。