担任の先生より 未分類

940)特別支援学校 作業療法士に求められること、環境調整

定期的に送られてくる、日本作業療法士協会の協会誌JAOTの5月号のなかで、以下のような記述がありました。

「めまぐるしく変化する現代社会のなかで、作業療法士が本当に役立つ専門家であるためには、最新の学術的な研究やその成果にいつもアンテナをはりめぐらせておくことが必要です。また、今の法制度で求められている知識と技能をどんどん身につけて、常に最高水準の専門性を発揮できるような準備をしておくことも求められるでしょう。」

「さらに作業療法士がその専門性を発揮できるためには、適材適所、本当に必要とされている場に、必要な数だけいなければ意味がありません。そのためには、法制度や報酬の点数を変えて作業療法を導入しやすい環境づくりをするほか、潜在的に作業療法士を必要としている利用者や他職種に作業療法の存在や有用性をもっと知ってもらう努力をしなければなりません。」

【教員目線でとらえてみる】
Aについて

最高水準の専門性って、学術的な研究やその成果にアンテナをはることで獲得するってことね…。

それはリハビリの業界で認めた最高水準であって、うちらにはあんまり関係ない。そういえば、以前きていたOT(作業療法士)やPT(理学療法士)がやたらと細かいことをやらせたがるし、いかに子どものためになるか言ってたけど、それは個別で40分とかの時間制限があるからできることでしょ。

私らだって、本当は必要に応じて個別にじっくりかかわったほうがいい場合があるのは分かるんだけど、それにハマると学級経営が破綻しちゃうから、優先順位を度外視したり、時間を短縮させたり、省略したりしてる。

学校では、流れのなかで自然にできる、流れをつくるだけで副産物的に期待できる、合理的で、複数の人が分かって取り組めることを求めています。かといって、個別指導で質を求めることを不要と言っている訳ではありません。「個別の指導」の時間があって、指導体制的に本当に個別になる時間があるとき、「個別指導はできない」では困ってしまいます。かといって、普段の人間関係や距離感を考えると、いきなり「質です!ほら、ここを意識して!このときの目を見て!」なんてことは難しいのです。

「質」は緻密さではなくて、合理性や妥当性で発揮したいと思っています(あくまで個人的な感想です)。

Bについて
適材適所とは、難しいものです。

子どもにとって、どんなことが必要か列挙して、それがどこに起因するものか整理して、対応できる人材(専門家)を列挙したらどうなるか、です。専門家の専門性などを加味して、いろいろ出てくると思いますが、結局それをどこがとりまとめて保護者に伝えるかというと、学校(担任)です。

学校では個別の支援計画を、保護者からの聞き取りを中心にとりまとめて作成していますが、様々な専門家からの意見も本来ならばお伝えして、保護者もまた子どもを支援する立場として把握・協力して頂くのが筋なのですが、保護者ができませんと意思表示すること、教員が保護者の状況に忖度して詳細を伝えないとなると、結局、実施者は「担任」になってしまいます。

教員は自分の仕事をすすめながら、専門家を取り入れたのは学校であること、(場合によっては実態も根拠もない)保護者との信頼関係を壊さないよう、とにかく丸抱えせざるを得ない状況に陥ることが多いです。膨大なタスクを外部につたえて協力を得ようにも、個人情報の保護の観点から、簡単に相談や協力を求めることはできません。

学校では助言・指導とコンサルテーションのように多様な情報を集めることを勧めますが、実施(DO)になると、極端に人的・物的・資金資源が少なくなるのが特徴です。窓口、調整、実施がすべて担任になることが多く、「子供を中心にして協力して支援」は分かるのですが、インプットとアウトプットのバランスがとれていません。

保護者が中心に支援について話をすると、希望と願望と要望が膨らんで、落としどころを定めるのに難渋することがあります。

教員が中心になると、組織的に難しいもの、学級経営上難しいもの、個々の指導観に照らして受け入れがたいものを、どうやってブロックするかにエネルギーの大半が費やされます。

【作業療法士にもとめること】
まず、学校にかかわる様々な専門家とつながることをしてもらいたいです。子どもにとって、理学療法も、学習支援アドバイザーも、作業療法士も、臨床心理士も、言語聴覚士も、ソーシャルワーカーも大事です。しかし、それぞれが好き勝手なことを言ってくることに担任は疲れています。

地域の人材活用、専門家との連携について、「連携する」ということが仕事になっています。関係機関等との連携のうえ支援計画が作成されること、連携のために必要な予算が決まっているので、それを適切に執行するために、です。よりよい支援のためにできることをしたいという考えはあるのですが、それによって教員としての仕事がスムーズに運ばなくなること、組織運営に支障をきたすこと、保護者等の機嫌を損ねて仕事が停滞すること、教員としての教育観を破壊されることを恐れています。

すべてを満たすことは難しい、そのために様々な情報や役割や責任をひっくるめて抱え込んでいるケースが多いです。教員、保護者、児童生徒、専門家、様々な制度、組織など、交通整理にかける負担は大きいです。

環境(人と案件)の調整」、作業療法士に期待されているのは、まさにそこだと思います。