学校には、たくさんの既製品(学習机、椅子)がたんまり置かれています。これらはあくまで規格品で、いろいろな実態をもった子どもにあっていますか、どうですか?と言われると、必ずしもそうではありません。
学校にいると、ごくたまに「うまく座れない」という相談を受けることがありますが、ここでどのように対応するか考えるようにしています。
【考えどころ】
まず、おおまかで良いので、対象となる子どもがどのように座っているか(座れないか)、普段使っている椅子はどのようなものか、普段ついている教員は座る場面でどのように支援しているか、このあたりを見る、または聞き取るようにしています。
どんなでも、とりあえず満点に近いものとするならば、ゆったり座位保持などが推奨なのでしょうが、そうはいきません。よりシンプルに、簡単なものにしたいと考えるようになっています。
なぜかというと、理由はひとつではなくて、特別なものを作ってしまうとシーティングって難しいものと周りの人に思わせてしまうんじゃないかと思ってしまいます。対象者が今より少し生活しやすくなればいい、環境に馴染みやすさをもってくれればいい、他の支援者もやってみようと思ってもらえたらいい、です。
いくらいいアイディアをもっていても、お金がかかりすぎるのは良くないと思っています。校内にあるものを極力多く使って、あとは工夫で対応です。よく使うのは段ボール、ガムテープ、すべりどめマットです。
椅子はその場でのみ使うものと、持ち運びするものとは作りが違ってきます。あまり動かさないならば、多少大きくなっても、重くなっても大丈夫でしょう。ただ、その動かせない椅子以外の場所で座る場面があるならば、そのギャップをどうするか考える必要があります。
動かせるものならば、極力かさばらず、重すぎず、解体してしまわないようなものがいいです。教室移動のときに子どもが持ち運びするときがありますが、体力的に椅子の重さや大きさを受け止められない場合、教員がもっていくか、子どもを待たせて運ぶなどが必要です。かといって、多少重くても子どもが運ぶのが通例だから、とかいうと、転倒や転落などのリスクを背負うことになります。
また、気づいてから、すぐに着手できて、完成までの時間が短いほうがいいです。教員をしていると、環境整備にそう時間はとれません。他にする仕事が多いので腰を据えて製作するのは難しいですし、早く、少しでも手をかければ良くなると思ったら、他の人に協力を求めるのもおっくうです。