学校の授業の一つとして、水泳指導が行われています。水泳指導は体育の授業として時間数がカウントされるもので、担当はその年の体育科に入った先生(普段、各学年で体育の授業を担当する先生)になります。
プールは設備管理、通常の体育(場所の割り振り)、移動を含む授業運営、気温などの環境面への配慮があるため、年度始めの段階からプール期間と学部ごとの授業回数、授業の実施時間(割り当て)が決められます。
例年、保護者や子どもが楽しみにしているから、プールは税金で作って管理しているので使わない訳にはいかない、夏の学習成果を示すアドバルーン的なもの、おたくの学校だけやらないなんてことはないよね?みたいな同調圧力、暑さ厳しい時期に水泳以外でできる代替え授業をどうするんだ、などの理由で、多少運営に困難さがあっても「実施します」で物事が進みます。
第一、年度はじめに各学年に所属する子どもや教員が集団になって、運営をどうするか明確なイメージがもてる教員はそれほどいません。個々の大人や子ども、それらの組み合わせ、集団になってどんな化学反応が起きるのか予想しにくいものです。
【割り振る】
在籍する教員と子どもたち、人数は見えているので、役割を割り振っていきます。
監視員
グループリーダー(学年または能力別の集団をつくり、リーダーをたてる)
一定数の集団をつくり、それをカバーしうるだけの教員を配置する
逃げ出す、スムーズに移動するのが難しい、転倒しがち、このような子どもに対しては手厚く教員を配置するのですが、運動能力的に高い、指示を把握して行動できるとなると、教員の配置は少なくなりがちです。
また、見学する子どもにも教員がつくのですが、水の事故などがないようにと、入水するグループに人員を多く割くので、ここも手薄になりがちです。
【何もないことが前提】
物理的な面で、子どもの安全を確保するなら、1人で1人の子どもを見守るのでしょうが、そうはいかないので1人で2人の子どもを指導することはありがちです。(マンツーマンでも振り切られることはあります)
パズルのように組み合わせを決めても、その均衡は簡単に崩れます。トイレに行きたい、膝をすりむいた、他グループから運営に関する問い合わせがきた、電話がかかってきた、体調不良を訴える子どもがでた、指導体制の穴埋めをしているうちにマークから離れた子どもが飛び出した、指導体制に入っていた教員が急遽休んだ、などです。
指導体制を考えるとき、人数ではなく、一人ひとりの教員の注意と連携が…などと言われますが、やはり穴をあけないための人数が必要です。このことから、体験とはいえ、教育実習や介護等体験のためにきている大学生の方々をアテにしていることを心苦しく思うことがあります。
教員の数は、そもそも学級の設置基準に則って、それに応じた教員の人数を算出されて決まります。アクシデント対応や教員のトイレや教材準備までは考慮されていないので、穴は空くものであり、事故は常に起こる可能性があると考えています。それでも何もなく一日を終えられたら、努力の成果と運だと思われます。