特別支援学校の給食では、普通食のほかに、後期食や中期食、初期食など食べる機能の状態によって、いくつかの食形態が用意されます。
中には後期と中期の間を準備しているところもあり、学校によって多少違います。各学校のHPで紹介されているので、いくつか閲覧されてみてはいかがでしょう。
このような食事への配慮は学校だけのものではなく、老健などでも見られるので、食べるということはみなさんの共通項で、機関や施設ごとで全く違うものではないんだなぁとおもいます。
【ニンジン】
学校では、柔らかくした人参のスティックが出されることがあります。
本校では、中期食を食べている子で、前歯などでかじり取る動きを練習させましょう、というお子さんにニンジンを出して、一口ガリ、一口ガリ、とやっています。更に、これによって一口大がどれくらいなのか学習できる(かも)というメリットもあり、基本の食形態を意識した練習以外の目標や目的を設定することもあります。
かじれるならばニンジンでなくても、たとえばじゃがりことか、ポテトチップスなどでもいいのですが、さすがに給食で市販のスナック菓子を出すのはどうも…ということで、そこはご家庭でやって頂いています。
中には、一口大が把握しにくくて、一本まるまる口の中に押し込んでしまうこともあります。そんなときはラップを保護者に準備してもらい、バナナの皮のようにつつんで一口分だけ出してかじる、むいて一口大、かじる、を繰り返すこともあります。食べ物をそのままつかんで食べさせるって抵抗があるので、何かで包んだ方がいいと思うんです。
また、たかがニンジン、されどニンジンです。正規の給食に追加する訳ですから、それをするだけの必要性や、根拠がないといけない訳です。教員がやってみましょう、そうしましょうと決めて追加するものではありません。
リハの指示のように、医師の指示が必要です。そりゃ、何でもタダでやってもらえるものならば何でも追加して欲しい、みたいな声が保護者からでてきたら、ニンジンだらけになってしまいます。(安請け合いはマズい)
【先生がやるならば】
子どもによって、ニンジン導入をやってもいいし、やらなくてもいい、みたいなグレーゾーンに入っていることがあります。医師も、やったらよくなるかな?それとも、手をかける割に実りは少ないかもしれないな、と思うことがあるのでしょう。
「担任の先生が目的をしっかり理解して、やろうと思うなら(ニンジンを)継続しましょう。」の一言。
これを受けて、担任の先生はどうるのか?と側で関心をもって聞いていましたが、結局、これまでやってきたことだし、やらない理由を説明することが難しい、代替え手段がない、そもそもやらなくてもいいと言えるまで能力が高まったと言えない、などの理由で、ニンジンは継続されることになりました。
止めるって、いろんな意味、いろんな理由で難しいのですね。