ここ1年ほどで、何人かの若手の先生が退職していきました。
昔のことを思い返すと、教員で退職するのは定年退職、身体的な病気、遠隔地への転居を伴う結婚が主で、時々「自由になりたい」などと言って飛び出していく人がいたりするくらいでした。
ところが、今は職場を選ぶ、合わなければ辞める、初めての職場は次のキャリアへの足場づくりなどと、仕事(職場)に対する価値観は随分多様になったと思います。
昔は同じ職場で3年はガマンしろと言われたものですが、それを待たずに退職してしまった先生は、なぜ辞めてしまったのでしょう?
【理由】
①頑張って〇部門で働いていたが、数年で△部門に配置替え。したいことが形にならず、周囲とかみ合いにくくなった。
②保護者と合わず、どんどん指導がやりにくくなり、行き詰まるようになった。
③自信がなく、ベテランの教員に追従することが多い。自分がメインになることに負担を感じ、休みがちになる。行動できない反面、こうありたいという思いだけはあるので、そのギャップに苦しむ。
長時間労働だったかは分かりませんが、仕事上の悩み事に囚われて、休んでいるけれど休めないこともあったのかなと思います。出口の見えない日々はどれほど辛いものだったのでしょう。
【私見】
①まず、経験の浅い人を育てるよりも、現場で鍛える感が強すぎるのかなと思います。今の教員の仕事は多種多様で、適性かつ柔軟な対応を求められます。現場に入って、まだ自分はどれほどの存在か見えていないうちから担任を任せることは本人の力量だけでなく、児童生徒の実態、保護者、同僚とのめぐりあわせという「運」に委ねる面が大きいと思います。
②「単純な問題解決能力の流れは通用しない場面がある」、というのを体験的に教わる必要があると思います。「こうしたい」⇒「そのために何が必要か」⇒「何を、どんな手順でやればいいか」⇒「やってみる」⇒「できた」のように、明確な意思をもち、それに向かってやればうまくいく、みたいな考え方が強化され過ぎてないか?と思えることがあります。目的意識があり、行動力があれば、うまくいくことが多いようですが、いったん不測の事態に陥ったり、留意すべき点が多くなって処理しにくくなると、経験不足と知識不足が露呈してしまいます。
③「職場は個に応じてくれない。仕事に自分を合わせろ」になりがちです。分業のありかたや先輩からのフォローや説明があるか、なども重要ですが、学校では仕事が縦割り的に振られることが多いので、できる範囲の仕事を考慮されて配当される、なんてことは少ないと思います。ベテランも新人も一律に振られたことを「よーいどん」でこなします。
新人の先生にとって、学校は厳しい職場になりつつあると思います。昔は多少の凸凹や個性の違いがあっても一緒に走ろうという余裕があったのですが、今は個々に合理性と柔軟性を併せ持たないと難しい職場だと思います。