担任の先生より

988)特別支援学校 猫は生きている

公立図書館に行ってきました。

図書館って、新しく入った本や、季節や行事にあった本を特設(?)の場所に並べて、どうですか?と見せてくれます。特別支援学校で働く教員にとっては、季節感を持たせてくれますし、どんな学習を展開するかのヒントになったりするので、図書館に…というか、外に出かけるのは大事だと思います。

図書館に戻りますが、特設の場の中に見覚えのある本を見つけました。「猫は生きている」という絵本なのですが、防空頭巾をかぶった人と、オレンジ色の炎が印象的です。この本は、私が小学生だったときに親が買い与えてくれた本です。

猫と、子猫たちが空襲で焼けた人の上を逃げていくのが印象的でした。本の始めは平和な日常を描き、戦争の激化とともに、平穏な生活が空襲によって壊されていくこと、生活していた人々が次々と「死」に至る様は、小学生だった私に悲しさや虚しさ、生命の力強さなどを感じました。

今でも、この本は教材として使えるのだろうかと思いました。今は難しいですよ。児童生徒にトラウマを残すものは問題視されますし、PTSD(心的外傷ストレス症候群)になったなどと言われたら、不適切な指導扱いになります。全校で集められて鑑賞した「はだしのゲン」も公に観られなくなったと聞いています。

半世紀ほど前では、「平和教育」ということで、とにかくみんなで目を背けずに観るんだ!みたいなところがあったので、途中で小学校低学年から怖くて泣いてしまう子がいても構わず上映されましたが、今はもうあってはならないことなのでしょう。

【学ぶこと】
感性や感情にうったえかける教材、死を含む別れ、争いごと、これらは大事なものを無くさないこと、本当は何を大事にしたいのか気づかせてくれ、苦しいなかでも生き抜く意思と術を教えてくれます。

とにかく今は合理性や、足すこと、積み重ねることばかり。人生上りばかりでなく、停滞や後退があったり、喪失感でいっぱいになったりします。そんなこともあると納得する、なんとかしようともがく、妥協しよう、助けを求めよう、逃げよう、そんな選択肢が頭になかったら、人生どれだけ苦しいか。

学校は、いろいろな人や価値観が集う場所です。苦しさや摩擦が悪だとしたら、集う必要があるのかなと思います。共生や共存、寛容さ、そんなものをどこで、どれだけ学べるのだろうかと、絵本を手に取って、そんなことを思っていました。