学校の文化 担任の先生より

990)特別支援学校 校舎の移転

校舎の老朽化や統廃合のため、新しい校舎に移転することがあります。

この移転について、複数回の経験があるのですが、一校舎の児童生徒が一斉に新しい場所に移動するのと、半分ずつ壊して完成させていくのでは、その後の学校生活が全く違う、と思いました。

【全校一斉】
ある鉄筋コンクリートの学校について、耐震性が十分でないとのことで、新しい校舎に作り変えることになりました。

今いる校舎は潰して、建て替えなければならないので、学校の機能すべてを他に移さねばなりません。通学できる範囲でプレハブなどの仮設校舎を建設し、そこに校舎内学習道具、倉庫の物品などをひっくるめて運ぶことになります。

では、それはいつやればいいかというと、教職員を授業も含めた日常に移転作業を付するのはとんでもないことで、いわゆる夏休み期間が使われました。

「みなさん、夏休みを元気に過ごしてくださいね」と終業式をして、下校を終えたら、即教室解体が始まります。

移転先で使うものはジャンルごとにまとめて箱に入れ、行った先で初度調弁(しょどちょうべん)として準備されているものがあったら、古いものは処分(廃棄か、転用)されます。

教室だけでなく、全校的に使っていたもの、共通確認されていた職場ルールも、そのまま引っ越して、新しい環境にあわせた運用が行われます。

【半分移転、半分残留】
大規模な学校だと、仮設校舎も大規模であらねばならず、相応の土地や建物を準備する必要があります。それが難しいところは全校を半分に分割して、半分は元の校舎の場所に残り、あとの半分は仮設校舎に移転することになりました。

AとBがあったとして、Bは仮設校舎に移転

Bがいた場所をつぶして、そこに新しいAの場所をつくる

Aが新しいAの場所にスライドする。

元居たAの場所をつぶして、新しいBの場所をつくる。

Bが仮設校舎をひきはらい、新しいBの場所に入る。

単純な組み換えパズルのように見えますが、共存していたABが別々になり、戻ってくるまでに10年前後の歳月を要することになります。その間は環境が違うだけでなく、異動・任用・退職を経て教職員の顔ぶれも変わってしまいます。

同じ学校だったはずなのに、2つの異なる学校ができてしまった感じです。

そうして、再び場を同じくした場合、多くは元の場所に長くいたAの文化を中心に学校がまわっていくことになるでしょう。

Bはこれまで培ってきた文化がどこまで通じるのか、通じないのか、過不足はあるのかどうか、確かめながら共存の道を探ります。

AはBを交えながらも、これまでのAの文化が正しいと主張するか、差異を把握したうえで調和の道をたどるのか、AとBが交わったことでこれまで通りにいかないことを予見して仕事のありようを再設定するか、そこはリーダーの力量と価値観に委ねられます。