学部によって、週1回校外歩行を設定していることがあります。
簡単に言えば、授業時間内にどこかの目的地まで行って戻ってくるのですが、残暑のあるこの時期、留意点が増えます。児童生徒の顔色や動きの量や質、水分摂取の時間をつくるというのはスタンダードな対応だと思います。
多くの場面で考えることですが、「準備、出発、経過、帰着」の時間軸で考えることと、日々の学校生活をふまえてどれだけの「配慮と対策と対応」を盛り込めるかが無難に終わらせるためのポイントになります。
よく、10年前後以上の経験のある先生が落ち着いて、臨機応変に対応しているのを見て、「さすが、経験があると…」なんて言われるのですが、おさえるポイントと根回しさえできていれば、数年目の先生もできることです。
ただ、必要な条件がありまして、自分以外に1人以上のMT(その場を仕切ることができる人)ができるくらいの教員がいること、児童生徒の実態が厳しすぎないことが大事です。これが整わないと、集団として機能しづらく、何かあったときに身動きがとりにくくなることがあります。
【暑いとき】
まず、「準備、出発、経過、帰着」ですが、暑さの数値や指標を把握しておきます。最近は目安としてWBGTがありますし、気温だけでも把握して、どこまでいったら中止するか決めておきます。
WBGTだと、31まできたら外出禁止などと言われるので、「30になったら即引き返そう」などを自分のなかで決めてしまいます。
「もうちょっと、もうちょっと」、「子どもも元気そうだし…」などの事故があったら言い訳できないような主観で判断することがないようにします。
学校に基準があれば、それに従えばいいですし、それに加えて普段子どもを見ている教員の感覚や勘で歯止めの決定もアリだと思います。
臨床(病院等)で仕事をしていたとき、「何だか今日はイヤな予感がする…」と感じた時は、プログラムで「責め」の内容は控えて、安定的にできる内容を、慎重に、手堅くしたことが何度かあります。この勘は、他のPTも感じたことがあるらしく、ただの虫の知らせだけでなく、普段の仕事が自分の力量の範囲で、対象者の実態をふまえてできているか、定期的にチェックする機会とも考えられるので、素直に従うようにしています。
出発するときは、子どもの顔色などもおおまかに見ておきます。暑くなったら顔が赤くなったり、息が荒くなったりします。はじめの姿を見ておけば、それと比較してどうなのか判断がつきやすくなります。
歩いている間は、途中にある休憩(座る、トイレ、水分摂取)をどのようにとるか、歩いている児童生徒と教員の様子をみて考えています。ほどほど疲れてきているならば、想定通りに座ってもらえばいいのですが、まだまだテンションが高くて元気そうだと、ダッシュで遊出、他害などがあるので、端に座らせる、少し集団から離して座らせる、などの対応が必要になってきます。
【リーダーとして】
私はリーダーとしてその場を仕切り、これだけの配慮と準備をしてきた、どうだ!みたいな先生がたまにいますが、長年やってきて、それは結果的に良くないと思っています。
・リーダーの判断と指示に依存しているので、主体的に考えない、仕事を覚えない、意見を言わない
・引率する仕事が、その学級や学年をまとめることが、必要以上に難しいと思わせてしまう。
・ひとつの教育観中心なので、他の教育観や指導観をもつ先生の引き出しを無にする。
大事なことはチームとしてその場をどう進めるか、指導の観点や考え方をどう周囲に把握してもらうか、です。もし、リーダーが休んだり、うっかり何かを忘れたとき、誰かが代わりをしてくれたり、確認のために声をかけたりしてくれます。
「顔色どうですか?疲れてきたら、汗がダラダラ、はーはーいうので、無理しないで休みましょう」
「このベンチに座ります。〇〇さんは手がでるかもなので、そちらで△先生と休みましょう」
「信号まできたら、クラスごと並びます。信号がかわったら、4列一斉に渡り始めます」
内容にもよりますが、指示を出しつつ、一緒に移動する先生の判断力や主体性が発揮できる場面や場をつくることで、はだかの王様でないMTになることができます。